
「0円」と「2000円」の差はいくらか
会計の1万6000円から優待券8000円分を引くと、現金で支払うのは8000円です。優待券を出した人が現金を払わない場合、残りの3人は1人あたり約2667円を負担します。4人で割る場合は、全員が2000円です。
優待券がなければ1人あたり4000円だったため、どちらの方法でも他の3人の支払いは減ります。減る金額は、3人で払う場合が約1333円、4人で割る場合が2000円です。
一方、4人で割ると、優待券を出した人は券8000円分に加えて現金2000円を出すことになります。この計算は、優待券に金銭的な価値がないと見なしているのに近いといえます。
株主優待券は株を持ち続けて受け取るもの
株主優待券は無料で配られるものではなく、株を買って保有している株主に贈られます。図表1は、焼き肉チェーンを展開する2社について、必要な投資額と利回りをまとめたものです。株価は2026年10月30日の終値を用いており、今後変動します。
図表1
松井証券、野村證券、物語コーポレーション、焼肉坂井ホールディングスHPより筆者作成
「焼肉きんぐ」などを展開する物語コーポレーションは、100株を半年以上持ち続けると年7000円分の優待券を受け取れます。100株の購入には59万8000円かかり、優待利回りは約1.17%です。
「焼肉屋さかい」などを展開する焼肉坂井ホールディングスは、100株なら6900円と少額ですが、受け取れるのは10%割引券で、金額分の優待券は1000株からです。3月末基準で8000円分の優待券を受け取るには1万株、約69万円が必要で、9月末基準の6000円分と合わせて年1万4000円分となります。
8000円分の「実質コスト」を計算すると
優待券の価値を測る目安の1つが、同じ資金を別の運用に回していれば得られたはずの収益です。ここでは、2026年10月募集の個人向け国債(変動10年)の初回利率である年2.05%と比べます。
物語コーポレーションの場合、59万8000円を国債で持つと利子は年1万2259円です。配当は年4600円の予想のため、差額は7659円となり、8000円分に換算すると約8753円です。
焼肉坂井ホールディングスの場合は、69万円で利子が年1万4145円、前期実績の配当が年5000円で、差額は9145円です。8000円分に換算すると約5226円となります。
いずれも税引前の概算で、株価の値上がり益は含めていません。値下がりのリスクもあり、物語コーポレーションの2026年の株価は安値4070円から高値6200円まで動き、100株では21万3000円の差があります。結果は株価や配当、金利によって変わります。
「0円」で精算しても他の3人の支払いは減る
優待券の価値も含めて4人で均等に負担するなら、1人あたりの負担は「(現金8000円+優待券の価値)÷4」です。ここから逆算すると、優待券を出した人の現金負担が0円になるのは、券の価値が約2667円のときです。額面の3分の1ほどの価値があれば、0円でも負担は釣り合います。
先ほどの約5226円〜約8753円はこの水準を上回っており、お金の面では「出した人は0円」に十分な理由があると考えられます。額面どおり8000円と見れば1人あたりの負担は4000円となり、出した人が他の3人から合計4000円を受け取る計算です。
ただし、優待券には有効期限があり、使える店舗も限られます。期限が迫っていて使い切りたかった場合や、本人の希望でその店を選んだ場合は、券の価値を低く見る考え方もあるでしょう。本人が納得して「自分も払うよ」と申し出るなら、4人で割っても問題はありません。
精算で迷わないためには注文前の一言が有効
8000円分の優待券を出した人の負担は、金額面では0円が1つの目安です。他の3人も1人あたり約1333円安くなるため、全員にメリットがあります。
後から気まずくならないよう、注文前に「この券を使うから、残りは3人でお願いできる?」と伝えておくと安心です。支払う側も、優待券の裏にある投資額やリスクを知っておけば、感謝とともに気持ちよく支払えるでしょう。
執筆者 : 上野梓
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
