
自宅を3000万円で売却しても遺族年金は原則として停止されない
遺族年金を受給している人が自宅を3000万円で売却しても、それだけを理由に年金が停止されることは原則としてありません。
遺族年金は、家族を亡くした人の生活を支える制度で、主に「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。
遺族基礎年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた、一定の年齢までの子どもがいる配偶者や子どもなどが対象です。一方、遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人などが亡くなった場合に、一定の条件を満たす遺族が受け取れます。
これらの年金には収入要件がありますが、基本的には年金を受け取る権利が発生した時点の状況をもとに判断されます。
そのため、すでに遺族年金を受給している母親が自宅を売却し、3000万円を受け取っても、売却代金が入ったことだけで年金が止まるわけではありません。
遺族年金には年収850万円未満などの収入要件がある
日本年金機構によると、遺族年金を受け取るための「生計維持」の認定では、原則として前年の収入が850万円未満、または所得が655万5000円未満であることなどが要件となります。所得とは、収入から必要経費などを差し引いた金額です。
例えば、夫を亡くした妻が遺族厚生年金を請求する場合、原則として夫が亡くなった時点の収入状況などが確認されます。
一方、すでに遺族年金を受給している人については、その後の収入が850万円を超えても、通常は年金が停止されることはありません。
また、厚生労働省の認定基準では、一時的な所得を除いて収入要件を確認する取り扱いも定められています。
自宅の売却による収入は、給与などの継続的な収入とは性質が異なります。そのため、「3000万円で売却したから年収850万円の基準を超え、年金が止まる」と考える必要はありません。
ただし、これから遺族年金を請求する場合などは、個別の状況によって判断が異なる可能性があります。不安がある場合は、年金事務所に相談しましょう。
自宅を売却すると税金や社会保険料に影響する場合がある
遺族年金が停止されなくても、自宅の売却によって税金や社会保険料に影響が出る可能性があります。特に注意したいのが、売却によって利益が出た場合です。
不動産の売却では、売却価格から購入時の費用や売却にかかった費用などを差し引いて利益を計算します。この利益を「譲渡所得」といいます。
例えば、自宅を3000万円で売却し、購入時の費用などを差し引いた利益が1000万円だった場合、一定の条件を満たせば「3000万円の特別控除」を利用できます。これは、マイホームの売却益から最高3000万円を差し引ける制度です。適用できれば、売却益に対する所得税や住民税がかからない場合があります。
ただし、特例の適用には一定の条件があり、原則として確定申告が必要です。
また、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料などは、前年の所得によって金額が変わる場合があります。売却益が発生すると、翌年度の保険料などに影響する可能性があるため、注意しましょう。売却前に税務署や自治体へ確認しておくと安心です。
まとめ:自宅を売却する前に年金への影響と税金を確認しよう
遺族年金を受け取っている母親が自宅を3000万円で売却しても、原則として、それだけで遺族年金が停止されることはありません。
遺族年金の収入要件は、基本的に受給権が発生した時点の状況などをもとに判断されるためです。
ただし、自宅の売却によって利益が出た場合は、税金や社会保険料などに影響する可能性があります。売却前に年金事務所や税務署などで必要な確認を行い、売却後の生活費も考えながら、安心して手続きを進めましょう。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 さ行 生計維持
厚生労働省 生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて〔国民年金法〕
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.3302 マイホームを売ったときの特例
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
