
「少なすぎる」の声に「基準は変わっていない」と反論も
写真1
砺波市 X公式アカウントより
初めに話題になったのは、砺波市の9月11日の給食の写真です。献立は「ごはん、牛乳、ポークシュウマイ、刻み漬け、麻婆なす」とのことですが、ポークシュウマイは小ぶりなものが2個、麻婆なすは具材が少なくみそ汁のようにも見えます。
また、10月1日の給食の写真も多くの注目を集めました(写真1)。献立は「コッペパン、牛乳、ミートボール(トマトソース)、 グリーンサラダ、ポトフ」でしたが、写真に映っているのは小さなミートボール2個、サラダも少量で、個人差はあれど満足な量とは言い難いのではないでしょうか。
写真2
入間市学校給食課 X公式アカウントより
その後も10月8日に投稿された埼玉県入間市の学校給食課による「わかめラーメン、牛乳、塩キャラメルポテト、キャベツときゅうりのさっぱり和え」の給食(写真2)も、1.3万いいねと話題になりました。
これらの投稿には「戦時中の食事のようだ」「育ち盛りには少ないのでは」「タンパク質が足りない」「何のために税金を納めているのか」「昔に比べて明らかに減っている」といった反応が寄せられた一方で、「自分の頃も給食はこのくらいだった」「この量で十分」という反応もありました。
また、「基準はなにもかわっていません」として、量が減ったというのは誤解だという趣旨の投稿も見られました。
ただ、この投稿に対しても、物価が上がっているのに基準が同じなら、実質的には足りなくなっているのではという疑問が投げかけられています。同じ「基準」という言葉をめぐって受け止め方が分かれるのは、その基準が何を定めたものなのかが、写真からは見えにくいためかもしれません。
「基準は変わっていない」が指しているのは栄養量
学校給食の内容は、文部科学省が定める学校給食実施基準にもとづいています。
この基準の中で、児童生徒1人が1回の給食でとる栄養量の目安を示したのが、学校給食摂取基準です。エネルギーは1日に必要な量の3分の1を目安に、小学1、2年生にあたる6~7歳で530キロカロリー、小学5、6年生にあたる10~11歳で780キロカロリー、中学生にあたる12~14歳で830キロカロリーとされています。
これらの値は2018年の改正で示され、2021年4月から適用されている現行の基準でも変わっていません。この点で、基準は変わっていないという指摘は正しいといえるでしょう。
ただし、学校給食摂取基準が数値で示しているのはエネルギーやたんぱく質、カルシウムなどの栄養量です。献立は、この栄養量を満たすように多様な食品を組み合わせ、1人分の分量を決めて作られます。
何品のおかずにするかは国の基準では示されていないため、基準に沿った給食であっても、写真から受ける量の印象とは一致しないことがあるかもしれません。
給食費は2年で1割以上値上がりしている
文部科学省の2025年度の学校給食実施状況等調査によると、給食費の平均月額は公立小学校で5196円、公立中学校で6013円でした。前回の2023年度調査と比べると小学校で541円、中学校で633円増えており、いずれも1割以上の値上がりです。
小学校の年間給食回数191回で年額を割ると、1食あたり約268円から約299円に上がった計算になります。
2026年4月からは、国が公立小学校の児童1人あたり月5200円を基準に自治体を支援する「学校給食費の抜本的な負担軽減」が始まりました。2025年度の小学校の平均月額5196円は、この基準額とほぼ同じ水準です。
基準額を超える分は保護者から徴収することもできますが、自治体や保護者による上乗せがなければ、限られた予算の中で基準を満たす献立を組むことになります。
まとめ
基準が変わっていないのは1回の給食で確保すべき栄養量のことで、給食はこの栄養量を満たすように作られています。
一方、食材費は2年で1割以上値上がりしており、同じ栄養量を確保するやりくりは厳しくなっていると考えられます。2026年4月から国による給食費の負担軽減が始まった今、値上がり分をどう支えるかが給食の中身を左右するといえそうです。
出典
砺波市(X公式アカウント)
入間市学校給食課(X公式アカウント)
文部科学省 学校給食実施基準の一部改正について
文部科学省 学校給食実施状況等調査-令和7年度結果の概要
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
