
世帯年収1000万円でも貯金できない家庭は珍しくない
世帯年収1000万円でも、毎月十分な金額を貯金できるとはかぎりません。年収が増えれば手取り額も増えますが、その一方で税金や社会保険料の負担も大きくなるため、年収1000万円をそのまま生活費や貯金に回せるわけではないからです。
また、子育て世帯では教育費も家計の大きな負担になります。学校に支払う費用だけでなく、塾や習い事、部活動、大学進学に備える資金など、必要なお金はさまざまです。特に子どもが複数いる家庭では、教育費が重なる時期もあるでしょう。
さらに、住宅ローンや自動車関連費、食費、保険料などの支出が加わると、高収入世帯であっても家計に十分な余裕を持てない場合があります。
総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編) 2025年」によると、50歳未満の二人以上世帯では、各年齢階級で平均負債現在高が平均貯蓄現在高を上回っています。特に40歳未満の負債保有世帯では、負債の大部分を住宅・土地のための負債が占めます。
また、40~49歳でも平均負債現在高が平均貯蓄現在高を上回っており、30~40代では住宅関連の負債が家計に大きく影響しているケースもあると考えられます。
こうした点を踏まえると、家計の状況を確認する際は、貯金額だけで良しあしを判断するのではなく、住宅ローンなどの負債も含めて見ることが大切です。
世帯年収1000万円前後の貯金額はどれくらい?
「家計調査(貯蓄・負債編)2025年」によると、2025年の二人以上世帯の平均貯蓄現在高は2059万円でした。これに対し、貯蓄額の中央値は1264万円となっています。
中央値とは、貯蓄額の少ない世帯から多い世帯まで順番に並べたとき、ちょうど中央にあたる金額のことです。一方、平均額は、貯蓄額の大きい一部の世帯によって押し上げられることがあります。
こうした違いがあるため、一般的な家庭の実感に近い水準を知りたい場合は、平均額だけでなく中央値もあわせて確認するとよいでしょう。
また、二人以上の勤労者世帯を年間収入の高い順に分けた2025年の統計では、年間収入1076万円以上のグループの平均年間収入は1420万円、平均貯蓄現在高は2847万円でした。
一方で、平均負債現在高も1465万円にのぼっており、収入が高い世帯でも一定の負債を抱えていることが分かります。
この結果から、高収入世帯であっても、必ずしも多額の貯蓄があり、住宅ローンなどの負債が少ないとはかぎらないことが分かります。というのも、家計の状況は、年齢や住宅を購入した時期、子どもの年齢などによって、家計の状況は大きく異なるためです。
したがって、「世帯年収1000万円なら貯金が○○万円なければならない」と一律に考えるのではなく、自分の家庭で今後必要になる支出を見積もり、そこから必要な貯蓄額を考えるほうが考えやすいでしょう。
教育費や住宅ローンが重い家庭は「先取り貯蓄」で家計を整える
貯金を増やしたい場合は、毎月余った分を貯める方法よりも、給料が入った時点で一定額を別口座に移す「先取り貯蓄」を取り入れるとよいでしょう。
例えば、毎月3万円を積み立てれば年間36万円、5万円なら年間60万円を確保できます。また、毎月5万円の積み立てに加えて、ボーナスから年間40万円を貯金に回せば、1年間で合計100万円を確保できます。
ただし、大切なのは最初から無理な金額を設定しないことです。教育費の負担が大きい時期に貯金額を増やしすぎると、生活費が足りなくなり、結果として貯金を取り崩す可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、まずは住宅ローンや教育費、保険料、通信費など、毎月かかる支出を整理しましょう。そのうえで、家計に無理のない範囲で継続できる貯金額を決めることが大切です。
また、昇給や住宅ローンの返済終了、子どもの独立などによって家計に余裕が生まれたときは、そのタイミングで貯金額を増やすとよいでしょう。
世帯年収1000万円でも平均額にこだわらず家庭に合った貯金を続けよう
世帯年収1000万円でも、子ども2人の教育費や住宅ローンなどが重なれば、思うように貯金できないことはあります。統計上の平均貯蓄額は参考になりますが、家族構成や年齢、住宅ローン残高などが異なる家庭同士を単純に比べても、自分の家計が健全かどうかは判断できません。
自分の家庭に合った貯蓄額を考えるためにも、今後必要になる教育費や住宅費、老後資金などを整理し、毎月いくらなら無理なく残せるのかを確認することが大切です。
平均額に追いつくことを目標にするのではなく、将来必要になる資金を見据えながら、無理なく続けられる貯蓄計画を立てていきましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告 貯蓄・負債編 2025年(令和7年)平均結果の概要 (二人以上の世帯)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
