
放射性医薬品とは、放射性同位体を含み、疾病の診断や治療に使用される医薬品です。PET(陽電子放出断層撮影)やSPECT(単一光子放射断層撮影)では、放射性同位体から放出される放射線を検出し、臓器や組織の機能、病変の位置などを画像化します。一方、治療用放射性医薬品は、放射線をがん細胞などの標的に届け、細胞の破壊や増殖抑制を目指します。
2. 放射性医薬品市場の成長を支える3つの要因
希少がん・難治性腫瘍への適応拡大: 神経内分泌腫瘍や前立腺がんなど、従来の治療だけでは対応が難しい疾患に対し、標的型放射性リガンド療法(RLT)の開発と臨床応用が進んでいます。治療選択肢の拡大が市場需要を押し上げています。
大手製薬企業による投資・提携: ノバルティスやバイエルなどの大手企業が、放射性医薬品の研究開発や事業基盤の強化を進めています。資本投下、企業買収、研究機関との提携を通じて、開発パイプラインや製造・販売体制の拡充が進んでいます。
医療用放射性同位体の国内供給体制整備: 日本では、PET・SPECT検査などに必要な医療用核種の安定供給が重要課題となっています。日本原子力研究開発機構(JAEA)による研究炉JRR-3を活用したモリブデン99(Mo-99)製造技術の開発など、海外依存の低減に向けた取り組みが進められています。
3. 放射性医薬品の世界市場規模と成長予測
YHResearchの最新レポート「グローバル放射性医薬品のトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」によると、世界の放射性医薬品市場は2026年の128億4,000万米ドルから、2032年には211億4,000万米ドルへ拡大する見通しです。2026年から2032年までの年平均成長率(CAGR)は8.7%と予測されています。
【画像 https://www.dreamnews.jp/press/367213/images/bodyimage1】
同レポートでは、製品別、用途別、企業別、地域別・国別の市場規模や競争環境を分析しており、世界市場の現状把握と中長期的な事業戦略の検討に活用できます。
4. 今後の成長機会:アルファ線治療とセラノスティクス
アルファ線放出核種の実用化: アクチニウム225(Ac-225)や鉛212(Pb-212)などを用いる標的アルファ線治療は、短い飛程と高い線エネルギー付与を特徴とし、腫瘍細胞への集中的な照射が期待されています。今後は安全性や有効性の臨床検証、核種の安定供給、製造技術の確立が重要になります。
セラノスティクスの普及: 同一の標的分子を利用し、診断用核種と治療用核種を組み合わせる「セラノスティクス」は、患者ごとの病変特性を把握したうえで治療方針を選択できる点が強みです。診断から治療、治療効果の評価までを一貫して行う個別化医療の発展を後押しします。
細胞医療との融合: CAR-T療法などの細胞医薬と放射性医薬品を組み合わせる研究も進んでいます。細胞の体内分布や移動を画像で追跡し、治療効果や安全性を評価する技術は、新たな応用領域となる可能性があります。
5. 主要企業の動向と技術開発の進展
2026年5月、ノバルティスは米テキサス州デントンに放射性リガンド療法の製造施設を建設すると発表しました。米国内の製造ネットワークを拡張し、南部地域の患者への供給体制強化を目指しています。
また、2026年10月にはGEヘルスケアが、PET用放射性医薬品の受託製造を手掛けるSOFIE Biosciencesの買収に関する契約を発表しました。製造拠点と供給網の強化は、放射性医薬品の普及を支える重要な動きです。
アルファ線治療分野でも開発が進展しています。2026年9月にはAlpha-9 Oncologyが、Ac-225およびルテチウム177(Lu-177)を用いた候補薬の第I相試験で初回投与を実施しました。さらに、同年10月にはEckert &ZieglerがAc-225のGMP製造認可を取得し、臨床開発を支える核種供給基盤の整備が進んでいます。
6. 市場拡大に向けた主な課題
製造設備と廃棄物処理のコスト: サイクロトロンや研究炉、放射性物質を扱う専用設備には大規模な投資が必要です。加えて、放射性廃棄物の管理・処理にも継続的な費用が発生するため、新規参入の障壁となっています。
専門人材の不足: 放射線安全管理、医薬品GMP、核種の製造・品質管理に精通した人材の確保が欠かせません。専門人材の育成と医療機関・製造企業間の連携が、産業拡大の鍵となります。
医療機関の受入体制: 放射線管理区域、専用病床、投与後の患者管理など、治療を実施するための施設・人員が必要です。地域によって受入体制に差があることも、治療機会の拡大を妨げる要因です。
7. まとめ:供給網と臨床実装が市場成長の鍵
放射性医薬品市場では、がん治療の高度化、アルファ線放出核種の開発、セラノスティクスの普及を背景に、中長期的な成長が期待されています。一方、核種の安定供給、製造コスト、専門人材、医療施設の整備が普及の条件となります。今後は医薬品開発だけでなく、製造・物流・医療提供体制を含めた産業全体の競争力が重要になると考えられます。
本記事は、YH Research発行のレポート「グローバル放射性医薬品のトップ会社の市場シェアおよびランキング 2026」を紹介しています。
レポート詳細・無料サンプルのお申し込み:
https://www.yhresearch.co.jp/reports/1244867/radiopharmaceutical
【お問い合わせ先】
YH Research株式会社
URL:https://www.yhresearch.co.jp
住所:日本東京都
TEL:050-5840-2692(日本)/0081-5058402692(海外)
Email:info@yhresearch.com
【会社概要】
YH Research(YHリサーチ)は、YHリサーチは、グローバル市場に特化した専門的な市場調査会社です。業界分析レポート、カスタマイズ調査、IPO支援、事業計画策定などのサービスを提供し、企業の市場理解の深化と戦略的意思決定を支援します。世界中に広がるネットワークリソースを基盤に、信頼性の高いデータと実践的な分析を提供し、企業の持続可能な発展と新たな市場機会の開拓を継続的にサポートします。
配信元企業:YH Research株式会社
プレスリリース詳細へ
ドリームニューストップへ
