15日、公式に上映された。石川監督をはじめ主演の広瀬すず、共演の吉田羊、二階堂ふみ、カミラ・アイコ、松下洸平、三浦友和と原作のカズオ・イシグロ氏が参加した。
広瀬すずがカンヌを訪れるのは10年ぶりとなる。主演の「遠い山なみの光」のカンヌ上映にて「映画が届いたと実感」
今回、この作品のエグゼグティブ・プロデューサーとしても名を連ねるノーベル賞作家のカズオ・イシグロ氏。自身の出身地である長崎を舞台にした長編デビュー小説が本作品の原作となる。第二次世界大戦後間もない長崎と、1980年代のイギリス人の夫を持ち、イギリスで原爆を体験した女性・悦子の記憶をひも解いていく社会派ミステリーとも言えるヒューマンドラマになっている。
この度、初めてのカンヌ国際映画祭に登壇する石川監督は、「この映画をずっと支えていただいたカズオさん、ずっと映画で戦ってくれたスタッフ、キャストの皆さん、会場に駆けつけていただいた皆さんと、この特別な瞬間を共有できることをとてもうれしく思っています」と感極まった面持ち。イシグロ氏は、「私が25歳の時に書いたひどい本がベースになっています。ひどい本から素晴らしい映画になるという長い歴史があります。石川監督が映画化の企画をくださった時に、美しい映画が生まれる可能性に満ちていた。そして、その直感は正しかった」と、ユーモアたっぷりの軽快なトークで、会場を笑いの渦に巻き込んだ。
エンドロールが始まった瞬間から拍手が起き、映画の余韻をかみしめる間もなく、観客は惜しみない拍手を送り、ついには全員が立ち上がって敬意を表した。約5分に及ぶスタンディングオベーションへと発展。石川監督、イシグロ氏、広瀬らの出演者は互いに握手、祝福の言葉とともに、固い握手と温かいハグが交わされ、会場は熱気に包まれた。石川監督は、「見終わった後の皆さんの顔を見たら凄く感動して泣きそうになりました。皆でこの瞬間をシェアできたのは本当に良かったなと思います」と言葉を選びながら、深く感動した面持ちと万感の表情で語った。
1994年にはコンペティション部門の審査員として関わったイシグロ氏。しかし、自らの作品を携えてこの場に参加するのは今回が初めてだ。「役者の皆さんのパフォーマンスが本当に最高だと思いました。45年前に小説を書いた当時は、こんなに素敵な映画になってカンヌでプレミアをして、温かく歓迎されるとは全然思わなかったので素晴らしかったです」と絶賛して太鼓判を押した。
余談ではあるが筆者が通用口を出入りしていた際に出演者の二階堂ふみさんに遭遇、友人がファンだったこともあり
サインをいただきました。
日本外国人特派員協会準会員 （社）モナコウィークインターナショナル代表理事 CEO 行政書士 樽谷大助
執筆 国際ジャーナリスト KANAME YAGIHASHI
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