
-AIと5G-Aの融合で加速するネットワーク進化とサービス革新-
【ソウル、北京、ベルリン、ブエノスアイレス、フォートコリンズ、香港、ロンドン、ニューデリー、台北、東京 - 2025年7月17日】
主なポイント
アプリ中心からエージェント中心のAIへの移行を促進:AIがアプリベースからエージェント駆動型モデルへと進化するにつれ、5G Advanced(5G-A)の強化されたアップリンク機能は、現在の4G/5Gネットワークの限界を克服し、次世代サービスを実現するために不可欠となります。
5G-Aの主要な技術革新:インテリジェントアップリンク、シングルユーザーMIMO、キャリアアグリゲーション、スマートエネルギー管理といった機能は、ネットワークスループットの向上、遅延の低減、そして業界を横断したスケーラブルでエネルギー効率の高いAIアプリケーションのサポートを実現します。
AI時代に向けたネットワーク評価の再定義:AI駆動型サービスには、ネットワークパフォーマンスをより正確に測定し、事業者に新たな収益化の機会を提供するために、QoEを重視した新たな評価指標が必要です。
クラウドベースAIによるデバイスの変革:中国電信の天一5G-Aスマートフォンなどのデバイスは、5G-Aを活用してコンピューティングをクラウドにオフロードすることで、ハイエンドハードウェアを必要とせずに、大規模言語モデルやクラウドゲームなどの強力なAI機能を実現します。
5G-AによるスマートAIシティの構築:北京、ドバイ、香港、上海などの大都市は、交通、緊急サービス、スマート会場、都市管理などの分野でAIアプリケーションを強化するために5G-Aインフラを導入し、驚異的な速度と機能を実現しています。
市場動向
AIは長年にわたり通信業界の主要な焦点となっており、最近のGSMAモバイルワールドコングレス上海(MWCS)やファーウェイのMBBFも例外ではありませんでした。AIがネットワークコストの最適化や既存のモバイルネットワークサービスの改善、新規サービスの創出による収益増加の両面で業界活性化を促進する方法に、大きな関心が集まっています。
今年のイベントでは、5Gネットワーク技術の最新イノベーションとその具体的なユースケースが紹介されました。展示会にはロボット、ドローン、自動車、その他のスマートデバイスが多数出展され、近い将来の通信ネットワークが持つ可能性が具体的に示されました。
特に今年のMWCSとMBBFで得られた重要な知見として、AIがモバイルインタラクションを「アプリ中心」から「エージェント中心」へとシフトさせ、それに伴いアップリンク需要が急増していることが挙げられます。従来のアプリはダウンリンク速度に依存していましたが、AIエージェントはクラウド処理のためリアルタイムで大量のデータを送信する必要があり、高帯域幅かつ低遅延のアップリンクが不可欠です。そのため、ネットワークはダウンリンクだけでなくアップリンクのパフォーマンス向上も重視する必要があります。
さらに、AIドリブンネットワークへの移行に伴い、単なるスループット評価を超えた「QoE(Quality of Experience)」指標が必要です。AIエージェントとのリアルタイムインタラクションにおいて実際のユーザー体験を定量化する新たな指標が求められています。現行のネットワークと評価手法ではこの新たなニーズに対応しきれておらず、5G Advanced(5G-A)がそのギャップを埋める重要なソリューションとなっています。次世代AIアプリケーションを支えるための特化機能とイノベーションを備えた5G-Aは、AI時代の主役となりつつあります。
AI向け5G-Aにおける主要な技術革新
AI主導のイノベーション需要に応えるため、5G-Aではいくつかの重要な技術革新が導入されています。
まず、アップリンクスループットの向上です。シングルユーザーMIMOとアップリンクキャリアアグリゲーションの導入により、ピークアップリンクレートとネットワーク全体の容量が向上し、AI処理のための膨大なデータ伝送が可能になります。例えばビデオストリーミングアプリケーションでは、高解像度画像を安定的に伝送でき、また数千台規模のカメラやIoTデバイスが接続されるスマートシティでも、大容量かつ高信頼のアップリンク接続を実現します。
次に、カバレッジの向上と低遅延の実現です。インテリジェントアップリンクは、複数のアンテナによるアップリンクカバレッジ能力を向上させます。さらに、分散型UCN(ユーザーセントリックネットワーク)と時間周波数エアコントロールの組み合わせにより、すべてのリソースをリアルタイムで共有し、遅延を低減します。これにより、ロボットが障害物検知やナビゲーションのため即時アップリンクフィードバックを受け、リアルタイム意思決定が可能となります。
さらに、マルチレイヤーコーディネーションにより、異なる5Gスペクトルレイヤー間でユーザー負荷を効率よく分散し、ネットワークの最適化を実現します。加えて、スマートエネルギー管理の導入により、段階的なキャリアデアクティベーションを通じて消費電力を削減し、デバイスのバッテリー寿命の延長に寄与します。
AI時代に向けたネットワーク評価の再定義:技術指標からエクスペリエンス指標へ
AIの台頭により、ネットワーク評価指標も抜本的な見直しが求められています。従来のスループット重視から、AI-QoE(Quality of Experience)フレームワークへと進化することが必要です。この新たな業界標準は、デバイス間、ネットワーク間の一貫性ある高品質なインタラクションを可能にし、モバイルAIの普及を加速させます。
これによりユーザー体験の向上とともに、通信事業者はAIアプリケーションに対応した差別化サービスを提供し、新たな収益機会を創出できます。さらに、AIエコシステムの推進役としてのネットワークの役割が明確化され、技術進化がユーザー価値と持続可能なビジネス成長の両立を後押しします。
5G-Aが新世代のAIデバイスを実現
技術基盤が整備された5G-Aは、すでにデバイスとサービスの両面で大きな変革をもたらしつつあります。カウンターポイントリサーチによりますと、AIスマートフォンは市場に本格的に参入しており、2026年までに販売されるデバイスの70%以上を占めると予想されています。
5G-Aネットワークは、チャイナテレコムの「天一5G-Aスマートフォン」の例に見られるように、デバイス業界に新たな革新をもたらしています。2025年5月17日に発売されたこのデバイスは、ファーウェイと共同で構築されたチャイナテレコムの5G-Aネットワークを活用しています。このデバイスは5G-A機能により、負荷の高いコンピューティングをクラウド側で処理することが可能です。その結果、デバイス自体には従来ほどの高性能なコンピューティングパワーが不要となり、ユーザーは高価なデバイスを購入することなく、高品質なモバイルゲームやAIサービスを利用することができます。
さらに、天一5G-Aスマートフォンは、New Calling機能やチャイナテレコムの「Xingchen大規模言語モデル」といった先進的なAI機能も備えています。
China Telecom 5G Tianyi 5G-A Smartphone
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000325415&id=bodyimage1】
この天一5G-Aスマートフォンには、ファーウェイが開発した「5G-Aインテリジェント・ウルトラ・プーリング・アップリンク・テクノロジー」が搭載されています。このテクノロジーは、AIモデルを活用して信号チャネル品質をリアルタイムで予測するだけでなく、時間、周波数、RAT(Radio Access Technology)、空間、電力を協調制御し、インテリジェントなマルチバンド選択、サービスニーズに応じたRAT分離(デカップリング)、フリーアップリンクスケジューリングを可能にします。
この技術はスマートデバイスに限らず、スマート交通、ロボット工学、スマート製造、ドローン管理といった様々な分野でも導入が進められており、5Gネットワークのアップリンク速度を最大30%向上させる効果があります。
5G-Aが実現するAI都市
5G-Aは消費者レベルや企業レベルにとどまらず、都市レベルにおいても大きな変革をもたらしています。カウンターポイント・リサーチは最近、モバイルネットワークの強さやAI活用の進展度合いなど、さまざまな指標に基づいて「世界トップ100のAI都市」を選出する調査を実施しました。
下記の調査結果が示すように、世界をリードするAI都市は5G-A技術を活用した最先端のモバイルネットワークを積極的に導入し、AIエコシステムの発展を推進しています。
World’s Top 5G + AI Cities
Top 15 AI Cities + 5G/AI Initiatives Rankings
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000325415&id=bodyimage2】
例えば、中国聯通(チャイナユニコム)の北京は、2024年末に世界で初めて大規模5G-Aネットワークを展開しました。このネットワークは1000万人をカバーし、古い公衆電話ボックスのインフラを活用しつつ、ライドシェア、緊急サービス、クラウドゲームといった新たなサービスを可能にしています。また、北京工人体育場では、収容人数が最大6万8000人規模となる際にも、5G-Aネットワークによってダウンロード速度最大10Gbps、アップリンク速度最大4Gbpsを実現しています。
ドバイでは通信事業者duが2024年末に中東最大の屋内5G-Aネットワークを導入しました。このネットワークはファーウェイの3キャリアアグリゲーション(3CC)とLampSite Xデジタルインドアソリューションを活用し、下り最大5.1Gbpsの速度と高精度測位機能を実現しています。今後はさまざまなAI都市アプリケーションで活用される予定です。
香港ではハチソンがファーウェイと提携し、香港エキシビションセンター、西九龍文化地区、新たに建設された啓徳運動公園(投資額約39億香港ドル)など主要施設に5G-A技術を導入しています。また、アート・バーゼル・ビジュアルアートフェアでは5G-Aモデムを活用した無料Wi-Fiサービスも提供され、下り最大3.1Gbps、上り最大370Mbpsの速度を実現しました。
上海では神通地下鉄グループが市内地下鉄全21路線(総距離896km、517駅)のうち約80%に5G-Aネットワークを導入したと発表しました。このネットワークはトンネル内でも下り600Mbps、上り600Mbps、ピーク時には1Gbps以上の速度を提供します。また、5G対応検査ロボットの導入により、従来手作業だった線路検査作業の80%以上が自動化され、約98%の精度での監視が可能になりました。
当社サイトもぜひご覧ください。
https://japan.counterpointresearch.com/future-proofing-mobile-networks-for-ai-era-with-5g-advanced/
専門家の解説(展望)
カウンターポイントリサーチのディレクター、マーク・アインシュタインは次のようにコメントしています。
「AI主導のモバイルネットワークイノベーションは、ここ数年で飛躍的に進化してきましたが、近年では特に5G-A、特にそのアップリンクの強化が、モバイル事業者にとって消費者レベルから自治体レベルに至るまで、さまざまな新サービスを実現する重要な技術になりつつあります。優れたAIエクスペリエンスの提供を目指す通信事業者は、今後さらに進化する通信業界の中で優位性を維持するために、5G-Aの導入を優先すべきです。業界は、高度なネットワークテクノロジー、よりスマートなエネルギー管理、そしてAI-QoE標準の導入を通じて、単にAI革命を支えるだけでなく、ネットワークそのものがその推進力となる未来を実現することが可能です。」
カウンターポイントリサーチについて
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