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【矢野経済研究所プレスリリース】自動車用フィルム・シート市場に関する調査を実施(2024年)~2023年の自動車用フィルム・シートの出荷量は前年比106.1%の1億9,494万平方メートル~


株式会社矢野経済研究所は、国内の自動車用フィルム・シート市場についての調査結果を発表した。2023年の同市場の規模は前年比106.1%の1億9,494万平方メートルに達した。特に車載ディスプレイ用カバーパネル向け反射防止フィルムは、ディスプレイの大型化やマルチディスプレイ化のトレンドにより需要が増加。さらに、自動車のCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)化に伴い、新たな需要の創出が期待されている。次世代自動車における技術革新と共に、自動車用フィルム・シートは多様なニーズに応える製品開発が求められ、持続的な成長を図る必要があるという。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越孝)は、国内の自動車用フィルム・シート市場の動向を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年の自動車用フィルム・シートの市場規模(国内メーカー出荷数量ベース、輸出分含む)は前年比106.1%の1億9,494万平方メートルであった。
内訳を見ると、内装用加飾フィルムは1,553.5万平方メートル(前年比100.5%)、外装用加飾フィルムが475万平方メートル(同102.4%)、ウィンドウフィルムは329万平方メートル(同101.9%)、合わせガラス用中間膜は1億6,910万平方メートル(同106.8%)、車載ディスプレイカバーパネル向け樹脂シートは69万平方メートル(同95.8%)、車載ディスプレイカバーパネル向け反射防止フィルムが157.5万平方メートル(同115.6%)となった。

ここ数年、車載ディスプレイの自動車1台あたり搭載数の増加や、車載ディスプレイの大面積化、樹脂製からガラス製のカバーパネルへの切り替え進展を背景に、視認性を確保するための車載ディスプレイ用カバーパネル向け反射防止フィルムは高成長が続いている。
また、内装用加飾フィルムの内、電装部品向けのインサート成形用フィルムは、コックピット周辺に搭載される車載ディスプレイの大型化や、複数の機能を統合したIntegrated Displayの搭載など、自動車の電装化進展に伴うニーズを取り込んだことで、市場規模は年率6~9%程度の成長率で推移している。

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000307353&id=bodyimage1

2.注目トピック~車載ディスプレイカバーパネル向け反射防止フィルム~

車載ディスプレイカバーパネルにはガラス製と樹脂製がある。

ガラス製カバーには、万一破損した際に破片の飛散を防止するため飛散防止フィルムが貼合されるが、ユーザー企業によっては最表面にフィルムが来ることでガラス独特のソリッドな質感や光沢が損なわれるとして飛散防止フィルムを貼合しないケースもある。
ただ、最近では高級車を中心に、コックピット周りのデザインを、CID(センターインフォメーションディスプレイ)やMCP(メータークラスターパネル)が個別に設置されたスタンドアローンタイプの車載ディスプレイではなく、1枚のカバーに複数のディスプレイを組み合わせたマルチディスプレイとするケースが増えてきており、ガラス製カバー1枚当たりの面積が拡大する傾向にある。さらに、マルチディスプレイにおいては様々な視野角度からの視認性を確保する必要があるため、AR(反射防止)フィルムやAGAR(防眩・反射防止)フィルム貼合に対するニーズが拡大している。

また、近年では、ダッシュボードの上にモニターを設置するオンダッシュ型のCID(センターインフォメーションディスプレイ)がトレンドになっているほか、デザイン性の観点からフードレスタイプのMCP(メータークラスターパネル)も増加している。オンダッシュ型のメリットとして運転時の視点移動が減ることで安全性向上につながるほか、車種や設置場所の制約が少ないためモニターサイズを自由に選べることなどが挙げられる。一方で、ダッシュボード上への設置となることやフードレスであるために、フロントガラスなどから入ってくる日差しが反射し、運転者からモニターが見えにくくなるというデメリットもある。このような課題に対しても、ARフィルムやAGARフィルムのニーズは拡大している。

3.将来展望

自動車用フィルム・シートメーカーは、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)の各項目に対応する製品の開発・投入を進めてきたものの、関連需要の創出・拡大にはそれほど結びついていないのが現状である。しかしながら、次世代自動車のための技術は着実に進歩しており、CASE実現に向けた動きは不可逆的なものである。
また、今後20年の内には自動運転やパワートレイン、生産台数、ビジネスモデル、モビリティサービス(MaaS:Mobility as a Service)などの状況は大きく変容すると見る向きもあり、CASEを中心とした自動車業界の変革が進む見通しである。
例えば、これまで自動車の生産は「自動車メーカー」が担っていたが、EV化や電装化が進んだことで、家電メーカーやICT機器メーカーがコンセプトカーを発表するという動きもある。これに伴い、車室内空間をリビングやシアタールーム、リモートワークスペースとして活用したり、EVに搭載した蓄電池や太陽電池をエネルギー源として災害の際に利用することも期待されている。

このような、移動にとどまらないモビリティの用途変化は自動車用フィルム・シートメーカーにとって新たな需要の創出を予感させる。例えば、車室内をリビングや書斎のように使用する場合は内装部材の手触り感が重視されるようになることが見込まれるほか、傷つきや汚れに強い内装材料のニーズ、汚れたとしても簡単に張り替えられる加飾フィルムなどのニーズも増加すると考えられ、防汚性に優れた原反やコーティングが求められる。
また、仕事場や会議スペース、シアタールームとして使用される場合は遮音性が重要視されるため、これまでフロントガラスが中心だった合わせガラス用中間膜の採用部位はサイドガラス、リアガラスにまで拡がる。
CASEを中心とした自動車業界の技術革新の過程では、様々な成長の芽がいたるところに散りばめられている。自動車用フィルム・シートメーカーにおいてはこれまで培ってきた技術・ノウハウを整理し、CASEや環境対応などのニーズに応える製品を「想像/創造」することで将来的な市場拡大に先手を打ち、「100年に一度の大変革期」と言われる自動車業界の中で持続的な成長に繋げていくことが求められていると考える。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3644

調査要綱
1.調査期間: 2024年7月~9月
2.調査対象: 内装用加飾フィルムメーカー、外装用加飾フィルムメーカー、ウィンドウフィルムメーカー、合わせガラス用中間膜メーカー、車載ディスプレイカバーパネル向け樹脂シートメーカー、車載ディスプレイカバーパネル向け反射防止フィルムメーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年09月27日

お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press

株式会社矢野経済研究所
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配信元企業:株式会社矢野経済研究所
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