【矢野経済研究所プレスリリース】自動車アフターマーケット市場に関する調査を実施(2023年)~2022年の自動車アフターマーケット市場規模は20兆827億円~
- 2023年08月28日 15:00:00
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1.市場概況
2022年の自動車アフターマーケット市場規模は、前年比100.2%の20兆827億円と推計した。2022年調査時と比較して中古車販売市場が大きく落ち込んだ。
アフターマーケットの起点となる国内新車販売は、半導体や各部品のサプライチェーンの混乱が継続し、新車の生産および納期の遅延が深刻化したため引き続き減少した。新車購入・買い替えが進まない中で、国内外からの中古車需要は拡大したものの、中古車発生量自体が少なかったため、価格が高騰し、国内販売に影響を及ぼした。
2022年の四輪車保有台数は7,854.9万台※で、引き続き前年を下回る結果となった(※データ出所:国土交通省)。個人による車両需要は存在したものの、前年以上に新車供給が滞ったことで販売も伸びず、法人はリモートワークを普及・促進させる中でコスト削減の一環として社用車の減車を進めた結果、マイナス分がプラス分を上回ったと考えられる。
新車販売台数や四輪車保有台数の減少は自動車アフターマーケットの母数となる流通量の縮小を意味するが、自動車需要そのものが減っているわけではない。新車購入が叶わなかったユーザーが中古車購入や保有車両の車検、メンテナンスを選択したケースもあるものとみる。また、カーシェアリングなどの賃貸サービスの利用に流れたユーザー層も存在する。つまり、サービスの提供体制・内容によっては収益の維持・拡大が可能であり、自動車アフターマーケットの参入事業者にとっては、ユーザーニーズの正確な把握とタイムリーなサービス提供がより重要となっている。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000286324&id=bodyimage1】
2.注目トピック~国内の中古車小売市場は3兆6,402億円~
2022年は新車供給の停滞が継続し、中古車に対する需要は拡大した。一方で、中古車の発生量も少なかったため流通在庫不足が深刻化し、国内販売事業者、海外輸出事業者等による仕入競争が激化したことで中古車価格は上昇を続けた。ベースとなる新車価格の上昇傾向、新車供給・中古車発生の減少、国内外の需要拡大等を受けて、一部の人気車種では中古車価格が新車価格を上回るなど、中古車市場は一種のバブル状態(相場の異常な過熱感)に陥っていた。
さらに、ロシアのウクライナ侵攻に起因する原材料費の高騰、エネルギー価格の高騰、それらがもたらした物価高も影響した結果、中古車の国内販売(小売り)に対しては買い控えが一定数生じたと考える。
この結果、国内中古車小売台数は前年比減と推計した(中古車の平均購入価格は前年比増の157.6万円と推計)。
海外中古車輸出においては、諸外国でも新車供給が停滞し、日本製中古車の需要が拡大したこと、また通年で円安基調にあったことなどが追い風となり、輸出台数は前年比101.1%の123.8万台※となった(※データ出所:財務省「貿易統計」)。
国内中古車の発生量・価格は新車販売の動向に影響されるため、回復傾向にある国内新車販売が順調に推移すれば、中古車市場の過熱感も落ち着いていくとみる。
3.将来展望
2022年は半導体をはじめ部品等におけるサプライチェーンの混乱が継続し、新車の供給が停滞した結果、新車販売は低水準となったものとみられ、国内保有台数も2年連続で減少※を続けた(※データ出所:国土交通省)。
しかし、新車代替の停滞はユーザーの車両保有継続を促し、補修部品や車検といった商品・整備需要を拡大させた。中古車市場では国内外から引き合いが強まる中でオートオークション市場は活況を呈し、円安を受けて輸出市場も盛り上がりを見せた。また、外出自粛の緩和はレンタカー・カーシェアリングといった賃貸利用サービスのほか、ロードサービスの需要も喚起した。
このように、自動車アフターマーケットにおいては、何らかのマイナス要素は何らかのプラス要素となり得る。全てのサービスが一様に同じ動きを示すことはない。つまり、アフターマーケットの参入事業者においては、顧客がいま何を求めているかを正確に把握し、いかに効率的かつタイムリーに提供できるかが重要となる。
また、今後は自動車アフターマーケットの変容への対応も必要となる。世界的に脱炭素化に向けた動きは加速しており、自動車業界においては、車両の電動化を通じてカーボンニュートラルの達成に取り組む動きが活発化してきている。
電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などは、ガソリン車と比較して国内の新車販売総数もまだ少なく、中古車としての二次流通に資する取り扱いノウハウが確立されているとは言い難い。また、部品点数の減少やパワートレインの違いから、内燃機関車で得られた収益の一部は確実に失われていく(代表例:エンジンオイル、オイルフィルターなど)。
各自動車メーカーは電動化への取り組みを日々強化しており、自動車アフターマーケットにおいても電動化の影響は着実に迫ってきている。参入事業者は今のうちから、ノウハウ蓄積にリソース(人材や設備投資への資金等、あらゆる余力)を割いておくことで、先行者メリットの享受と市場環境の変容へのスムーズな対応に繋げられると考える。現在は、将来の成長を見据え、既存事業の競争力を高めることで余力を生み出し、それを次なる事業の準備に充てる環境を整える段階にあるといえる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3326
調査要綱
1.調査期間: 2023年4月~7月
2.調査対象: 自動車アフターマーケット関連事業を展開する企業・団体、および管轄官庁など
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・メール等によるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2023年07月31日
お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
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