SABIC、EVバッテリー・テクノロジーに向けた熱可塑性プラスチック・ソリューション
- 2021年05月11日 14:00:00
- マネー
- Dream News
日本・東京、2021年5月11日 - SABIC(日本法人:SHPPジャパン合同会社、東京都千代田区)は本日、同社の自動車事業部門が、システム工学アプローチを用い、熱可塑性プラスチックを活用したEVバッテリー・パックのコンセプトを開発したことを明らかにした。これは、柔軟な設計、性能や安全性の向上、コスト削減など自動車業界で求められる重要なニーズに応える軽量プラスチックの可能性を示すものである。現在SABICでは、自動車メーカーが将来に向けて、電気自動車(EV)への全面的な移行を加速させる中、熱可塑性プラスチックを使用したソリューションの開発を続けており、その専門知識を活かし、EVの性能を最適化するため自動車業界を支援している。
SABICの軽量な熱可塑性プラスチックを活用したコンセプトでは、アルミニウムやその他の金属などの従来素材を使用した通常のバッテリー・パック設計と比べ、部品あたり30~50%の軽量化を達成するとともに、エネルギー密度の向上、組み立てプロセスの簡素化、コスト削減、熱制御、安全性、耐衝撃性の向上を実現する。
SABICのETP &マーケット・ソリューション担当ゼネラル・マネージャーであるAbdullah Al-Otaibiは、「自動車の電動化テクノロジーに関する当社の取り組みは、既存の設計内で、個々の部品と素材を組み合わせるだけではありません。当社のエキスパート・チームは、EVバッテリー・システムと自動車構造全体を考慮して、自動車メーカーのお客様が最も重要な自動車開発上の目標を達成できるよう、適切なサポートを提供しています。」と話している。
EV用バッテリー・パックのコンセプト
SABICが開発したバッテリー・パックのコンセプトは、熱可塑性プラスチックの特性と強みを活かすことで、性能の向上、コスト削減、軽量化、量産化への対応が実現できる。このコンセプトの特徴は以下の通り。
・ ガラス繊維を30%充填した難燃性(FR)のSABIC(r)ポリプロピレン(PP)コンパウンドで成形した薄肉ハウジング内のパウチ・セルに個々のバッテリーを統合。
・ 二重壁構造、斬新なリブ型パターン、独創的な機能の統合など形状的な特徴は、すべてSABICの熱可塑性プラスチックによって実現され、軽量化と構造上の要件に適合。
・ プラスチック素材における熱伝導率の異方性を活用することで熱管理性能を最適化。
・ バッテリー・トレイをSTAMAX(tm) FRロング・グラス・ファイバーPP素材を用いたプラスチックと金属とのハイブリッド構造に統合することで、熱伝導の最適化、落下テストの要件に適合、サイド・フレーム部材に生じる大きな衝撃エネルギーを吸収。
・ バッテリー・パックの筐体やカバーをSTAMAX FR樹脂で成形。この素材を使用することで、UL94 V-0の難燃性等級を達成でき、電磁干渉(EMI)や高周波干渉(RFI)の遮蔽を目的としたカバーへの金属被覆が可能。
・ 熱可塑性プラスチックの特徴である設計自由度によって、部品点数の削減と組み立ての効率化が実現することでコストを低減。
コラボレーションを通じたイノベーション
SABICは、EVバッテリーと他のEV用途に向けたイノベーションを支援するため、専門知識と製品の継続的な向上に注力しており、チーフ・エンジニア、特別研究員、シニア・サイエンティストで構成される技術チームを結成している。このチームの役割は、OEMから工作機械のサプライヤーや試験機関に至るまで、バリューチェーン全体にわたってお客様、開発パートナーなどとの世界クラスのコラボレーションを実現することにある。
Al-Otaibiは、「私たちは、自動車エコシステムの劇的な変化について話し合っています。最新EVテクノロジーの開発や改善には、サプライチェーン全体の協力が不可欠です。これは長年にわたるSABICの考え方であり、運営スタイルでもあります。当社は引き続き、イノベーションの進展を推進するコラボレーションの機会とパートナーシップを追求してまいります。」とコメントしている。
SABICは、業界との継続的な協力を通じて、早ければ2024年には、熱可塑性プラスチックで成形された複数の大型バッテリー筐体が、量産型EVに採用されると予測している。中国のあるプラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)モデルでは、すでにバッテリー・パック・カバーに、アルミニウムに替えてSABIC PPコンパウンドが採用され、軽量化、設計自由度の向上、ソリの抑制といったメリットを実現している。
現在世界中で生産されているEVにおいても、セル・キャリアー、ハウジング、バッテリー・モジュール、バッテリー筐体などの部品で、複数のSABICによる素材が使用されている。
SABICは、EVの要件を満たす新素材の開発に加えて、大型部品の製造、接合、組み立て、耐衝撃性、バッテリーの熱管理、難燃性、電気特性、性能試験などに向けたテクノロジーの実現に取り組んでいる。
SABICについて
SABIC(サウジ基礎産業公社)はサウジアラビアのリヤドに本社を置く化学製品のグローバルカンパニーです。SABICはアメリカ大陸、ヨーロッパ、中東およびアジア太平洋地区を拠点として、化学品、汎用製品、高機能性プラスチックス、肥料、金属といった製品の世界規模での生産活動を行っています。
SABICでは解決すべき課題の特定やソリューションの開発を通して、建設、医療機器、包装、肥料、電気電子、輸送機器、クリーンエネルギーといった主要アプリケーションに携わる顧客をサポートしています。2020年の生産量は6,080万トンです。
SABICは世界50か国以上で事業を展開し、3万2,000人を上回る従業員を全世界で雇用しています。SABICでは、イノベーションと独創性の育成を促進するため、グローバルで9,946件の特許出願を行っているほか、5つの主要地域(アメリカ、ヨーロッパ、中東、東南アジア、北東アジア)においてイノベーションのハブとなる研究開発のリソースを有しています。
https://www.sabic.com/
SHPPジャパン合同会社について
SABICは、2020年4月1日付で日本法人の称号をSABICジャパン合同会社からSHPPジャパン合同会社に変更しました。
配信元企業:SHPPジャパン合同会社
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