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米社会の分断や米中対立は、誰が大統領になっても変わらない構造的な現象 -ピュー・リサーチ・センター前ディレクターのストークス氏



非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、9月9日(月)に公開フォーラム「アメリカ大統領選挙の行方と民主主義の現状」を開催しました。この中で、米国の世界的な世論調査機関ピュー・リサーチ・センターでディレクターを務めていたブルース・ストークス氏は、現在、米国で起こっている社会の分断や、自由と民主主義の牽引役という立場からの米国の撤退、また米中対立に伴う世界の分断は構造的な現象であり、大統領選でトランプ氏と民主党候補者のどちらが勝利しても大きく変わない、との見方を示しました。

支持政党により大きく影響を受けている個別政策への態度

 ストークス氏は、同センターが実施した米国の世論調査結果を紹介しながら、トランプ政権下における米国社会の構造を説明。過去50年間で、非白人や海外生まれの人が人口に占める割合がそれぞれ3倍になった、と紹介し、こうした変化の中でストレスを抱えている米国民にトランプ氏への支持が根強い背景には、経済状況よりも、米国人の文化的な誇りが脅かされているという感情にあるのではないか、との見方を示しました。
 さらにストークス氏は、米経済の現状への評価や自由貿易への賛否などで、共和党支持者と民主党支持者が正反対の傾向を示していることを指摘し、個別政策への態度が支持政党によって大きく影響を受けている米国社会の分断の状況を明らかにしました。そして、トランプ政権発足以降、その支持率が共和党では8割を超え、民主党では1割に満たないという結果が継続していることを挙げ、こうした米国社会の分断の傾向は選挙戦を経ても続くという見通しを示しました。



【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000201438&id=bodyimage1

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民主党政権でも中国への強い姿勢は続く

 また、現在の米中対立が、民主党候補者が勝利した場合にどうなるのかという見通しについて、ストークス氏は、「民主党候補は、トランプ氏と違い日本や欧州と連携して中国と対峙していくだろうが、中国への圧力という結果は変わらない」と発言。また、民主党候補が当選した場合は対中関係の修復を試みるだろうと予測しながらも、「中国の軍事的野心は我々が経験したことがないものであり、米中の緊張関係を意味する。香港や台湾に対する中国政府の姿勢にも、米国社会はかなり批判的だ。それが現在我々に立ちはだかっているチャレンジだ」と、米中対立は長期化するとの見通しを示しました。
 一方、ストークス氏は、「米国は比較的衰退しており、世界のリーダーに戻ってはいけない。日本にも欧州にも役割が必要である。自分の役割が変わったと米国自身が理解しないといけない」とした上で、その点を正直にアピールしていることがトランプ氏の魅力になっていると解説。米国が戦後秩序の中で担ってきた、国際的な公共財の分担を見直さなければいけない、と主張しました。

 議論にはこのほか、米国通商代表補代理や在日米国商工会議所の会頭などを歴任し、現在は米国の先端政策研究所で上席研究員を務めるグレン・S・フクシマ氏、そして国際政治学者、文化人類学者として米国社会の状況に詳しい渡辺靖・慶應義塾大学教授が参加しました。

議論の詳細な内容は、こちらからご覧になれます。
http://www.genron-npo.net/future/archives/7334.html

【言論NPOについて】
言論NPOは、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2004年から、政党のマニフェスト評価や政権の政策評価を定期的に行い、試練に直面する民主主義についてアジアや世界のシンクタンクと連携して議論を行っています。2005年には日中間のハイレベルな民間対話「東京-北京フォーラム」を立ち上げ、その後、一度も中断せずに14年間継続し、今では日中を代表する民間外交の舞台になっています。2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25カ国のシンクタンク会議に日本から唯一選出され、それ以来、世界を舞台に活動を展開しています。2017年には世界10カ国のシンクタンクを東京に集め、東京を舞台に世界の課題に関する議論を行う「東京会議」を立ち上げ、世界のルールベースの自由秩序や多国間主義や民主主義を守り発展させるための事業に取り組んでいます。





配信元企業:認定NPO法人 言論NPO
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