みなさん、「読書」って「ただ本を読む」ことだと思ってませんか? かくいう私も、最近まで思ってました……。
でも、それだけじゃもったいない。ちょっと意識しながら読むだけで、本の効能って何倍にも高まるんです!
それを教えてくれたのが、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』。
私、鈴木ふみ奈の書評コラム『道は開ける』も第7回。今回、この連載で紹介してきた本、これから紹介する本に役立ててほしい”読書術”をご紹介します!
著者の西岡壱誠さんは現役東大生。「1.速く読める」「2.内容を忘れない」「3.応用できる」読書術がギュッと凝縮された一冊です。
この本を実践すれば、「読む力」が増すのはもちろん、なんと「東大脳」も手に入るらしいんです! 偏差値35だった西岡さんが東大に合格できたのは、この本の読書術で地頭力を上げたからだそうで……説得力が違いますね。
これ一冊マスターすれば、読書の効能も地頭力も劇的に高まることまちがいなし!
「東大脳」を作る5つの読書術
本書では、大きく分けて5つの読書術が紹介されています。
1.「読み込む力」を劇的に上げる 仮説作り
2.「論理の流れ」がクリアに見える 取材読み
3.「一言で説明する力」を鍛える 整理読み
4.「多面的なモノの見方」を身につける 検証読み
5.「ずっと覚えている」ことができる 議論読み
1つずつ紹介していきますね。
仮説作りで、読書において重要な「準備」をする
私、1つ目の「『読み込む力』を劇的に上げる 仮説作り」からして、刺さりまくりでした……。
まず、“「本や文章が読めない問題」の原因の9割は、「準備不足」”と書いてあるんですけど。
最近、知人に勧められて『シャオミ(Xiaomi)世界最速1兆円IT企業の戦略』って本を読んだんです。全く前情報ゼロ、それこそシャオミとは何かもわからなかったんですけど、「人に勧められたことは、とりあえず何事も挑戦する!」精神で。笑
そうしたら、もう、ほんとに全然理解できなくて! 正直今、何も覚えてないんですよ。笑
東京大学駒場キャンパス前!
『東大読書』を読んで、「あ、私には準備が足りてなかったんだ……」と愕然としました。
この準備こそが、「仮説作り」。本を読み進めていく上での「地図」をつくるような作業です。
まず、本のカバーに書かれているタイトルやコピーを見て、「これを読むと、どんなことがわかるのか」の仮説を立てます。それをもとに、「これを読んで、自分は何を得たいのか」、目的・ゴールを決めます。すると、難しい本もそれほど迷わず読めるし、自分に必要な情報をしっかり頭にいれることができるんです。
たとえば『シャオミ』なら、カバーを見て、「シャオミっていうすごいIT企業がある」「GoogleやAppleを超える戦略がわかる」「世界最速で1兆円に達する秘訣がわかる」などなど、なんとなく仮説を立てておく。それから、「シャオミの成功の秘訣から、何か自分に活かせることがないか知りたい!」ってゴールを決めて、意識しながら読めばよかったんですよ!
ここでのポイントは、仮説や目的は付箋に書いて、その本の「見返し」に貼っておくことです。読みながらわからなくなってきたときや、読み終えて時間が立ったとき、付箋を見るだけで内容を思い出せるんです。
『東大読書』でさっそく試してみました
「昔読んだ本の内容を忘れちゃって、また1から読み返して……」とかよくありますよね? 読み始める前からこうやっておけば、二度手間しなくてよかったんですね〜。
『シャオミ』だって、今、もう一度「仮説読み」したら理解できる、はず……?笑
取材読みで、人と話すように本に質問する
私が一番向いてるな〜と思ったのが、2つ目の読書術「『論理の流れ』がクリアに見える 取材読み」。本に取材しているつもりで、「どういうことですか?」「本当ですか?」「他に例は?」と質問をはさみながら読んでいくんです。
私、人と話すとき、相手に興味を持っていろいろ質問することが多くて。「これを人だけじゃなくて、本にも活かせばいいんだ!それならすぐできるぞ!」と思ったんです。
あと、事前に相手のことを知っておいたり、何を知りたいか考えておけば、会話の中で引っかかるポイントが多くなって、より話が深まりますよね。「前準備が重要」っていうのは人に対しても本に対しても同じで。だからこそさっきの「仮説作り」が活きてくるんだな〜と思いました。
整理読みで、情報を取捨選択し、端的に伝える
3つ目は、「『一言で説明する力』を鍛える 整理読み」。節・章ごとに情報を整理して、一言で言い表せる状態に要約していくんです。これをやると、理解が深まり、覚えやすくなるし、情報を取捨選択して端的に伝える力も身につくんですね。
東大は「短くまとめられる=ちゃんと理解している」と捉えていて、入試でも、すごく少ない文字数で要約したり、意見をまとめたりする問題が多いそうです。
短くまとめるコツや要点の見抜き方、要約のトレーニング法なんかも詳しく載ってるので、私もがんばってみたいです。たとえば、「ツイッターで呟ける長さにまとめる」とかも書いてあったので……やばい、文章力が試される。笑
→NEXT:鈴木ふみ奈考案!『東大読書』のキャッチコピーは?
検証読みで、情報を分析し、自分の頭で考える
4つ目が「『多面的なモノの見方』を身につける 検証読み」。関連するテーマの本を、2冊同時並行で読んでいくんです。
すると、共通する部分や異なる部分が見えてきて、「あ、このテーマはベースとしてはこういうことなんだな」「このポイントは人によって意見が分かれるんだな」っていうのが大体つかめる。ただボーッと読んで受け入れるより理解も深まるし、記憶に残ります。
さらに、「これは本当に正しいのかな」「この点はいろんな意見があるけど、私はこう思う」って、自分で考えて検証する力が身につくんです。地頭力が鍛えられるんですね。
さっそく「検証読み」も実践したんですけど……お相手に選んだのがこちら、『京大読書術』! 東大・京大で、ちょうどいいかなと。笑
検証読みした結果は……似てるところはびっくりするぐらい似てるんですよ。
たとえば、京大読書には、「読書は、自分の入りやすいところから入るのが鉄則。知りたいことをまずウィキペディアで調べて、その分野をおもしろく書いている入門書や漫画とかを読んでおく」って書いてあって。これ、東大読書の「仮説読み」に当たる部分ですよね。
何の情報もなく読み始めるんじゃなくて、あらかじめヒントを集めておくのが重要なんだな〜と、強く印象に残りました。
議論読みで、本と対話し、アウトプットする
そして、本の知識を実生活に役立てるために必要なのが、「『ずっと覚えている』ことができる 議論読み」。ただ読みっぱなしじゃなく、本と議論、対話することで、記憶に定着させ、仕事や勉強に応用できるようになります。
“本と対話”ってどういうこと?って思ったかもしれませんが……この本には、自分なりの感想をアウトプットするだけで対話になる、とあります。本から与えられる情報をただ受け入れる、いわば“聞き役に徹する”んじゃなくて、得た情報をもとに自分で考えて、感想や疑問・意見をアウトプットする、いわば“返答をする”ことが本との対話になると。
「仮説作り」で付箋を書くのもそうだし、SNSで感想を発信したり、人と感想を言い合ったり、アウトプットの方法もいろいろありますよね。
「議論読み」では、特に役立つアウトプット方法が3つ紹介されてるんですけど……面白かったのが、「アウトプット要約」! その本の“帯コピー”を考えるつもりで、本全体を1行に要約してみるんです。
もちろん私、考えましたよ! ……いくぞ!
“誰でも読書で東大脳が作れる極秘マニュアル!”
はい! どうですか!? 恥ずかし〜!笑
みなさんがこの記事を読んで考えたコピーも、是非聞かせてください。笑
ちなみにこの本いわく、“東大生はみんな本の感想を議論するのが好き”らしくて。
ミス・ワールドに出たとき(連載第1回,第2回参照)、同じファイナリストで東大生の鈴木柚里絵ちゃんと仲良くなったんですけど、確かに、「このあと読書会だから」ってめっちゃ言うんですよ。「何するの?」って聞いたら、「本の感想を言い合って議論する」って。だから、本当に東大生がやってる読書術なんだなって思いました。笑
「得るものが多い本」を見つけるにはコツがある
以上、5つの読み方をざーっと紹介してきました。もっと具体的なやり方やテクニック、コツなどは『東大読書』を読んでいただくとして。
……今、読書したくなってませんか?笑
学んだテクニックを活かして、いっぱい本が読みたい!って気持ちになりますよね!?
この本のすばらしいのは、後半に、「東大流『読むべき本』の探し方」まで詳しく書いてあること! 自分にとって得るものが多い本を見つけるのにも、コツがあるんですね。
たとえば、「ベストセラーを選ぶ」。「なぜ今、この本が売れているのか?」を考えながら読むことで、世の中の今の空気を感じることができます。
前回の書評で取り上げた『センスは知識からはじまる』にも、「まず、普通を知ること」って書いてあったけど、それと一緒なのかなって。「王道を知って、流行りを知って、それらの共通点を見つけることで、広く受け入れられるものをつくれる」ってありましたよね。
「時代を超えて読みつがれている古典を選ぶ」ってところも、「物事の根本、ベーシックな部分を知るのが大切」って『センスは知識からはじまる』にもあったし、大切なことなのかなって。
そうやって見つけた「読むべき本」も、ただボーッと読んでるだけじゃもったいない。能動的に、対話するように本と向き合うだけで、得られるものが全然変わってくるんですよね。これから、たくさんの本と語り合っていきたいと思います!
〈今回の格言〉「本と対話しよう!」
▼今回の書籍
『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』
「仕事」にも「勉強」にも「読書嫌い」にも効くと大好評。マネするだけで、誰でも、どんな本でも「 1.速く読める 2.内容を忘れない 3.応用できる」東大流読書術!
▼このテーマに興味がある方へ
『必要な知識を15分でインプットできる速読術』
多忙な経営コンサルタントの、1日20冊読む速読術。本から得た知識を実生活に活かすための速読法(=整読)とは。かける時間は、1冊15分。必要なのは、紙1枚のフォーマットのみ!
『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』
1日かかっていた書類づくりが30分に。移動中にパワポが完成。本が1冊15分で読めて忘れない。インプット・アウトプットの効率が劇的に向上する7つのフォーマット!
『やるべきことがみるみる片づく 東大ドクター流やる気と集中力を引き出す技術』
東大ドクター流、「すぐやる人」「必ずやる人」「効率よくやる人」に変わる脳と体のメカニズム!4つの集中法を駆使して、先送り、ダラダラ、三日坊主から脱却しよう。
鈴木ふみ奈 Suzuki Fumina
1990年生まれ。埼玉県出身。オフィスポケット所属。愛称は「ふみにゃん」。
日本大学芸術学部音楽学科サックス専攻卒業。2009年より雑誌のグラビアを中心にタレント活動を開始。ミスFLASH 2011グランプリ。第3回「AKIBA TOKYO COLLECTION」グランプリ。ミス・ワールド・ジャパン2018ファイナリスト。趣味・特技はサバイバルゲーム、麻雀、読書、サックス、ピアノ、殺陣、ハイキック、ハンドスプリング。最新DVD&Blu-ray「Golden Smile」好評発売中。
【取材協力】
BOOK LAB TOKYO
Photo Coji Kanazawa