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遺伝性血管性浮腫の早期発見に向けてHAE患者予測AIモデルを京都大学医学部附属病院の電子カルテデータで検証完了 


京都大学医学部附属病院(京大病院)、日本IBM、遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(DISCOVERY)は、HAE患者予測AIモデルの有用性を検証しました。このモデルは医療データを活用し、HAEに苦しむ潜在的な患者を特定することを目指しています。今回、京大病院の電子カルテデータにAIモデルを適用し、その有用性を評価しました。検証の結果、抽出された患者グループの約20%にHAEの疑いがあり、早期診断に貢献できる可能性が示されました。山下浩平准教授は、海外データから構築されたモデルでも国内で有用性を示したと評価しています。この研究は、希少疾患であるHAEの診断率向上に寄与できることが期待されています。


PRESS RELEASE


モデル適用イメージ

京都大学医学部附属病院(以下「京大病院」)と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下「日本IBM」)、一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(以下「DISCOVERY」)は、京大病院が保有する電子カルテデータを活用し、DISCOVERYと日本IBMが構築した遺伝性血管性浮腫(以下、「HAE」)患者予測AIモデルの有用性の検証を京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会の承認後、2022年12月から開始し、その成果を本年9月に学術誌「JMIR Medical Informatics」*にて発表しました。

*URL: https://medinform.jmir.org/2024/1/e59858
*DOI: 10.2196/59858


DISCOVERYはHAEと診断されずに症状に苦しむ患者のために、医療従事者、患者団体、製薬企業を中心に2021年2月に発足し、適切な早期診断および診断率の向上を目指す取り組みを行っています。取り組みの一環として、医療データAI分析ワーキンググループを立ち上げ、HAEの潜在患者を特定する診断を支援するための研究および、その支援のためのAI開発を日本IBMと推進しています。これまでは希少疾患という特性上、モデル構築にあたっては、よりデータ量の多い米国電子カルテ・レセプトデータを元にHAE患者予測AIモデルを開発してきました。一方、国内医療機関への適用にあたっては国内電子カルテデータでの検証が必要でした。

今回、京大病院が保持している電子カルテデータに対して、DISCOVERYおよび日本IBMが開発したHAE患者予測AIモデルを適用し、適用結果の予測精度やHAEリスクが高いと提示された患者の傾向等について評価しました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/419579/LL_img_419579_2.png
モデル適用イメージ

HAEは5万人に1人の有病率と言われている中、本モデルによる今回の検証では、HAEの可能性が高いとして抽出された患者のグループにおいては、約5人に1人の割合でHAEの確定診断、またはHAEの疑いがある旨の記録がされていました。この結果から、これまでHAEの診断記録がない患者においても、本モデルの適用結果を活用することにより、HAEの早期診断に寄与しうると考えられます。

本研究の統括責任者である京大病院血液内科 山下浩平准教授は、「HAE患者予測AIモデルは海外の電子カルテ・レセプトデータを元に構築されたモデルであり、国内の電子カルテへの適用性が懸念されていたものの、本研究によって一定レベルの有用性を評価できた。本来HAEを疑うべき患者も抽出されているため、潜在患者の発見に貢献し得る」とコメントしています。


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