GfK Japan(東京:中野区)は、2023年1~9月期のデジタル家電におけるEC市場動向を2023年11月16日に発表した*1。
【概要】
・2023年1~9月におけるEC販売金額構成比は、4つのデジタル家電分類*2で概ね前年並みの-2~+1%ポイント
・大画面液晶テレビやノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホン*3など、ハイエンド製品ではEC比率が拡大
・主要カテゴリにおけるECの平均価格は上昇しており、店頭よりも高い伸び率を記録
【23年のEC比率は前年同期と同水準に留まり、拡大傾向に一服感】
23年1~9月のEC販売金額構成比は主要なデジタル家電分類で前年並み、もしくは微減となった(図1)。イヤホンが市場の大半を占めるオーディオは、デジタル家電の中でもEC比率が高い。EC比率は20年のコロナ禍以降毎年拡大を続け、22年は4割を超えた。しかし23年に入り、EC比率は前年比2%ポイント減と拡大に一服感が見られた。他にも、カメラなどのイメージング、PCなどのIT、テレビなどのビジュアルでも、19年以降EC比率は拡大傾向にあったが、23年のEC比率は前年並みに留まっている。コロナ禍前の生活スタイルに戻りつつあるなかで、EC市場の拡大は踊り場に差し掛かっていると言えるだろう。
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【高機能・高価格な製品においてはEC比率が上昇】
市場全体としてはやや落ち着いているEC市場であるが、高機能・高価格といったハイエンド製品の市場ではEC比率が拡大している。例えば、65インチ以上の大画面液晶テレビにおいて、23年1~9月のEC比率は31%で、21年比で3%ポイント増加した(図2)。一方で65インチ未満の製品のEC比率は、21年比2%ポイント減の22%に留まっている。また、ノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤホンをみてみると、高価格帯となる税抜2.5万円以上でのEC比率は、21年比11%ポイント増の40%と拡大した。こちらも、2.5万円未満の価格帯においては21年比13%ポイント減の31%と縮小しており、対照的な傾向となっている。
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【EC市場の平均価格の伸び率は、店頭市場より高い】
前述のハイエンド製品市場におけるEC販売比率拡大などを背景として、EC市場の平均価格は上昇傾向が続いている。EC市場におけるデジタルカメラの23年1~9月平均価格は、2年前の21年と比べ42%上昇した(図3)。これは、店頭市場における上昇率よりも10%ポイント高かった。同様に、ノートパソコンのEC平均価格上昇率は店頭よりも10%ポイント高く、テレビは同2%ポイント、完全ワイヤレスイヤホンも同8%ポイント高い。このように、多くの主要カテゴリにおいてEC市場での価格上昇が顕著であった。このことから、ECでも高価格な製品を購入するという購買行動が定着しつつあるものと考えられる。
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GfKの購入者調査*4によると、23年1月から6月の間にECでイヤホン、テレビ、ノートパソコンを購入した人のうち、購入店を選ぶうえで「価格やプロモーション」が重要だと回答した割合は46%であった。この割合は、EC市場が大きく伸長する前の19年と比較すると10%ポイント減少している。このことから、ECで製品を購入する際に価格面を重視する消費者は半数近くいるものの、価格優位性だけがECを選ぶ理由ではなくなってきていることがわかる。このような消費者の意識の変化が、ECの価格上昇に対する下地になったのではないかと推察される。
*1. 全国の家電・IT製品取扱店約1万店(量販店、専門店等)の販売実績に基づく
*2. ビジュアル:テレビ、ビデオプレイヤー
IT:デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット、モニター、マウス、ウェアラブル端末
オーディオ:ヘッドホン・ヘッドセット、スピーカー
イメージング:デジタルカメラ、交換レンズ
*3. 完全ワイヤレスイヤホン:左右のイヤホンが完全に独立したBluetooth搭載イヤホン
*4. gfknewron consumer 調査結果に基づく
■調査主体:GfK
■調査実施機関:GfK
■本調査対象:2023年1月~23年6月におけるイヤホン、テレビ、ノートパソコン購入者 約8,900名
■調査方法:インターネット調査
■回答者属性:性、年代、就業状況、世帯年収、家族構成、他
■調査内容:メーカー名、比較検討メーカー名、購入前使用メーカー、購入重視点、購入店舗、参考にした情報源、他
gfknewron consumerはgfknewronが提供するソリューションの一つです。
2018年から四半期に一度調査を実施しており、最新の消費者動向をいち早く把握することができるプラットフォームです。
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