BAS Fitシステム
BAS Fit体験画面
図1 アンケート比較
図2 BAS Fitによる個別の計測事例
※1:「神奈川ME-BYOリビングラボ」とは、神奈川県民が安心して未病改善に取り組むとともに、未病産業の持続的発展を促すため、県が市町村やCHO構想(健康経営)を実践する企業等と連携して、県民参加の実証フィールドを創出し、未病関連商品・サービスの検証・評価を行う仕組み。
■本研究の目的
現代において幼少期からのスマートフォンやタブレット、ゲーム機の利用が非常に増えており、教育現場でもパソコンやタブレットが急速に活用されるようになってきました。これらICT機器の普及は、便利さや教育の可能性を広げるメリットはある反面、過度の使用は集中力の阻害、体調不良やストレスを誘発するストレートネックや巻き肩、猫背など、成長過程にある子どもたちの姿勢に悪影響を与える可能性も考えられます。
自身の身体の歪みは主観的な感覚、また「人の目」により把握する方法が一般的ですが、もし身体の歪みを客観的な数値データで把握できれば、姿勢に対する意識を高めることが期待できます。また、身体の歪みを客観的に認識することにより、その歪みを矯正するためのストレッチ等を積極的に取り組むことにつながると考えられます。そこで非接触型姿勢測定システム「BAS Fit」(※2)を用い、参加者の姿勢(立位・座位)を測定し、併せて実証実験開始前後にアンケートを実施し、姿勢に対する意識変容等の効果を検証しました。
※2:「BAS Fit」は赤外線センサーが自動で人物を認識し骨格を取得するため、完全非接触にて姿勢測定が可能。測定データはIDで管理されているため、それぞれのデータが蓄積され変化を比較することも可能。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/357692/LL_img_357692_1.png
BAS Fitシステム
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/357692/LL_img_357692_2.png
BAS Fit体験画面
■実証実験の方法と結果
本実証は相模女子大学中学部様にご協力いただき、実証参加に同意をいただいた生徒の皆様を対象に実施しました。実施期間は4週間で「ストレッチプログラムを行うグループ(以下、介入群)」と「ストレッチプログラムを行わないグループ(以下、非介入群)」に分け、介入群は「BAS Fit」による姿勢測定を計4回(毎週)、非介入群には初回と最終週の2回のみ行いました。
【介入群】姿勢改善のためのストレッチ動画を各自任意で4週間視聴しストレッチを行い、1週間毎に計4回の姿勢測定を行った。ストレッチの内容は簡単で難易度の低いもの。1種目約3分程度(5種目約15分程度)姿勢測定後、計4回のアンケートを実施。
【非介入群】初回と最終週のみ姿勢測定を実施。姿勢測定後、計2回のアンケートを実施。
■実証対象
相模女子大学中学部在籍の中学2年生女子(13~14歳)75名を対象とし、その内、本実証実験への同意を得られた生徒34名が参加
■協同研究
湘南工科大学 総合文化教育センター 准教授 榊 淳一先生
横浜医療専門学校 柔道整復師科 学科長 小野 博道先生
■実証事業の結果
実証開始時と実証終了時のアンケート結果から(図1)姿勢に対する意識について、介入群では「1:とても思う、2:やや思う」の両方で、非介入群では「1:とても思う」の回答より、姿勢に対する興味を持った生徒の増加が見られ、姿勢測定(姿勢の見える化)に対する意識変容に一定のポジティブな影響が観察できました。
なお、本実証では、「BAS Fit」の計測データについて、群間および実証前後の姿勢変化、データの分析・評価を行いましたが、群間比較に関しては、群分け時に両グループ間で例数・平均値等の差異が大きく、統計学的な評価には至りませんでした。一方で、個別データの前後比較では姿勢の改善を示した結果もあり、姿勢を測定することによって姿勢に対する意識だけでなく、健康に対する変化傾向の事例も確認することが出来ました。
■まとめ(今後に向けて)
今回の実証では、「BAS Fit」による計測により、側弯状態の把握と介入後の改善状況を客観的に見える化でき、その情報を参加者に共有することで、介入群(ストレッチを実施した生徒)と非介入群(ストレッチを実施しなかった生徒)それぞれが姿勢に関する意識改善への取り組みに繋げられることが確認できました。
自身の身体の歪みを「人の目」によるものだけではなく客観的な数値データで可視化することにより、姿勢や健康に対する意識向上に繋げることが大切です。そのためにも学校(小学校・中学校・高校)で身体測定を行うのと同様に、「BAS Fit」を導入することで「骨格測定」計測の定期的な実施と、結果に対する的確な評価・フィードバックを一連のサービスとして広く普及させることで、思春期から成長期の子供に対する、正しい姿勢の重要性を認識させ、姿勢の歪みから来る様々な体調不良の改善に寄与していくと考えられます。
この経験を活かしつつ、「BAS Fit」の活用を拡大するとともに、学校現場における、より効果的なサービスメニューの検討・提供に取り組んでまいります。
■実証の結果(参考データ)
【姿勢に対する意識】
介入群と非介入群との意識に関するアンケート比較
質問:今日測定してみて自分の姿勢を意識してみようと興味が湧きましたか?
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/357692/LL_img_357692_3.png
図1 アンケート比較
介入群についてはストレッチの実施や姿勢測定により、実証開始前後で姿勢に対する意識の変化(「1.とても思う」+「2.やや思う」の合計:74%→92%増加)が見られた。また非介入群についても姿勢測定を行うことにより、姿勢に対する意識の変化(「1.とても思う」+「2.やや思う」の合計値に大きな変化はなかったが、「1.とても思う」の比率増:8%→38%)に影響を与えるものと考えられる。
【個別の測定結果事例について】
介入群に関して、『肩の傾き』と『腰の傾き』について、測定1回目から側弯の状態を推測し、測定4回目でどのように変化したかを見た。
介入群22名のうち、(1)右凸側弯傾向:15名 (2)左凸側弯傾向:2名 (3)ダブルカーブ傾向:1名で、側弯傾向の事例が見られた。
画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/357692/LL_img_357692_6.png
側面画像
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/357692/LL_img_357692_4.png
図2 BAS Fitによる個別の計測事例
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/357692/LL_img_357692_5.png
図3 側弯傾向の種別
今回の実証では、「BAS Fit」による画像測定と、介入群に対しては、任意でのストレッチ実施を促した。その結果、18名の側弯傾向のある生徒のうち、8名で側弯傾向の改善(6名が肩と腰の傾きが改善し、2名が腰の傾きが改善)が見られた。
また、上記の側弯傾向のある生徒の内、実証後にアンケートの回答が得られた7名の姿勢に関するアンケート結果をみてみると『今日測定してみて自分の姿勢を意識してみようと思いましたか』という質問に対して、5名/7名が『とても思う』、2名/7名が『やや思う』と回答している。また、『機会があればまた姿勢を測定したいと思いますか』という質問に対して、5名/7名が『とても思う』または『どちらかというと思う』と回答している。さらに『姿勢改善のアドバイスを受けられるとしたら受けたいと思いますか』という質問に対して、6名/7名が『とても思う』または『どちらかというと思う』と回答が得られた。
■企業情報
社名 : 株式会社PRIDIST
URL : https://www.pridist.com/
代表者名: 代表取締役 三田村 もな美
事業内容: 鉄道・交通・医療福祉等訓練システム開発/VR開発/
モーションセンサーを活用したシステム開発/
ゲーム・ツール・デザイン制作等/システム受託開発等