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この本には、今話題となっている「性別多様性、ジェンダー平等」についての基本的概念と海外での取り組み、また日本でなぜうまくいかないかや、何から始めればいいかが具体例と共に紹介されています。
多様性が組織に必要な理由や、それが企業の経営的な成長に繋がることを裏付ける50のデータ、また「女性が活躍する会社BEST100」などがまとめられていて、「企業のダイバーシティ・女性活躍推進の研修テキスト」としても参考になると評判です。
企業研修やセミナー登壇の依頼も2022年だけで50社を超えたとのことで、今まさにこのテーマで奮闘している方や悩んでいる方、そしてこれから就職を控えている方にもおすすめの1冊。
ぜひ年末年始に、ゆっくり読んでじっくり考えてみてください。
書籍『多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』
https://www.amazon.co.jp/dp/4296111523
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/340291/LL_img_340291_1.jpg
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【内容一部要約】
■日本に押された「男女不平等な国」という烙印
世界経済フォーラムが調査している、通称ジェンダーギャップ指数ランキングでは、2021年の時点で日本は120位、G7諸国で最下位という結果です。アジアで見てもインドネシア101位、韓国102位、中国107位に後れを取っており、ジェンダーギャップが大きい、つまり男女不平等な国という烙印が押されています。
また内閣府の2019年の調査でも、国民の4人に3人が、「男性のほうが優遇されている」と認識しているという結果が出ました。さらに、日本人女性は、高等教育を受けても全然収入に反映されておらず、経済的リターンは諸外国と比較しても際立って低いという調査結果もあります。(ジェンダーギャップ会議2021年5月資料より)「女性だけ特別扱いするのはおかしい」という理屈で、男女共同参画=gender equalityという政治目標が20年も放置され達成されていない日本は、ジェンダー平等の項目で世界から取り残されていると言えます。
■女性活躍が進む企業ほど、純利益があがっている
日経ビジネスと日経xwoman編集部での2021年9月の特集記事では、女性管理職比率で上位4分の1に属する企業群と、下位4分の1に属する企業群の業績を比較しており、16年3月末時点と5年後の21年3月末までの比較で、純利益に大きな差がついたことが示されました。(前者増益率平均28%、後者平均マイナス43%=減益)またジェンダーダイバーシティに優れた企業群に投資をしている、代表的な投資信託「MSCI日本株女性活躍指数」を見ても、2018年ごろから株価はパフォーマンスを伸ばしています。投資の専門家も、冒頭の取材の中で、「女性活躍は倫理的な観点で大事だからというわけではなく、長期的な投資収益につながると考えている」「女性活躍の場が増えれば、それだけ企業内に埋もれていた優秀な人材を発掘できる。
過去において女性管理職の割合が多い企業ほど、強く成長していたことは疑いようのない事実だ」と話します。
さらに『Journal of Financial Economics』に掲載された学術研究によると、取締役の女性比率が高く、女性議長がリードする企業のほうが、不正を働いたり証券取引規制に違反する割合が低いことがわかっています。女性取締役が1人いるだけでも、取締役会の監督機能が発揮され、集団思考(自分たちと異なる意見や不都合な情報を排除する、自分たちは正しいと思いこみ道徳や倫理を無視する、全員の意見が一致していると思い込む等)のリスクが減ることになるのです。
◆書籍概要
書籍名: 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門
著者 : 羽生 祥子
発売日: 2022年1月17日
出版社: 日経BP
体裁 : 262ページ
価格 : 1,980円(税込)
URL : https://www.amazon.co.jp/dp/4296111523
◆目次
【1部 理論編】多様性って何ですか?
1章 世界に訪れた「多様性」の波
2章 企業に求められるD&Iの変化
3章 国際比較から分かる、日本のダイバーシティの遅れ
4章 女性活躍が進まない「言い訳トップ5」
5章 今さら聞けない…多様性が組織に必要な理由
【2部 実践編】ウチの会社、何から始めればいいですか?
1章 ウチの会社、何から手をつければいい?
2章 制度は作ったのに、なぜ会社は変わらない?
3章 コーポレートガバナンス・コード改訂、女性活躍推進法改正
4章 先進企業は何をやっている? D&I取り組み事例
5章 日経WOMAN「女性が活躍する会社BEST100」
6章 日経xwoman「女性取締役ランキング」
◆著者 羽生 祥子(はぶ・さちこ) プロフィール
ジャーナリスト、女性活躍推進家、メディアプロデューサー。株式会社羽生プロ 代表取締役社長。
京都大学卒業後、渡仏。帰国後に無職・フリーランス・ベンチャー・契約社員など多様な働き方を経験。編集工学研究所で松岡 正剛氏に師事、「千夜千冊」に関わる。05年現日経BPに入社。12年「日経マネー」副編集長。13年「日経DUAL(当時)」を創刊し編集長。18年「日経ARIA」「日経xwoman」を創刊し総編集長。20年「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」始動。22年羽生プロ代表取締役社長に就任。日経xwoman客員研究員、内閣府「女性活躍と経済成長の好循環実現のための政策検討会(小倉将信大臣開催有識者会議)」委員なども兼任しながら、働く女性の声を発信している。