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尾張ゆかりの古能〈不逢森(あわでのもり)〉をご当地名古屋で数百年ぶりに復曲初演約300人が鑑賞、伝統芸能による地元再発見に一役



復曲能〈不逢森〉


復曲能〈不逢森〉


復曲能〈不逢森〉


復曲能〈不逢森〉

今は上演されない室町時代の古演目の中から、現代にふさわしい価値ある演目を再興(復曲)することを通して能楽(能・狂言)の可能性を再発見する試みを続けている一般社団法人復曲能を観る会(代表理事:加藤眞悟)は、2022年11月12日(土)、名古屋市の名古屋能楽堂で公演を開催、数百年ぶりに復曲された古能〈不逢森〉など尾張ゆかりの能や狂言を上演しました。公演には約300人が来場し、土地の歴史や当時に思いを馳せながら鑑賞しました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/331876/LL_img_331876_1.jpg
復曲能〈不逢森〉

復曲能〈不逢森〉は、愛知県あま市上萱津にある日本武尊が参拝した伝説を持つ古社、萱津神社(古くは「阿波手の杜」と呼ばれた)を舞台にした室町時代の古能です。公演では〈不逢森〉を数百年ぶりに復曲初演したほか、地元・尾張の津島祭を描く狂言〈千鳥〉、熱田神宮に関連した仕舞〈小鍛冶 クセ〉〈楊貴妃〉、〈不逢森〉の別名にもなっている反魂香(はんごんこう)に関連した仕舞〈花筐 クセ〉を上演しました。(下記、演目紹介参照)
旧鎌倉街道沿いの不逢森は古から歴史に名が残る有名な土地です。今回の復曲初演によって地元の歴史に改めて光を当て、また、能楽の歴史においても貴重な演目が復活する意義ある公演となりました。伝統芸能には目まぐるしい現代社会において忘れられがちな、土地にまつわる物語が多く残っています。復曲能を観る会は、現在は演じられなくなってしまった演目を継続的に復曲することで多くの土地の魅力を再発見し、舞台活動を通じて人と人を繋げていきたいと考えています。


■演目紹介
復曲能〈不逢森〉
鎌倉・亀江谷の商人(父)は昨年春から京の都に上り、今年の秋になっても戻りません。娘は父に逢いたさに都への旅に出ますが、慣れない長旅の途中、尾張国萱津宿で命を落とします。奇しくもその日、商人は同じ萱津宿に泊まり、亡くなったのは娘であることを知ります。嘆き悲しむ父は萱津の森の僧とともに娘を弔い、死者の霊を招き返すという反魂香を焚きます。煙の中に娘の姿を見た父は袖にすがろうとしますが、煙とともに再び娘は消えてしまうのでした。
現在は〈不逢森〉の一部が最高難度の謡物〈反魂香〉として伝承されるだけで能としては上演されません。今回、復曲能を観る会のメンバーが中心となってよみがえらせ、ご当地名古屋で復曲初演しました。

狂言〈千鳥〉
太郎冠者は酒好きな主人に命じられ、酒屋に酒を取りに行きます。ツケの支払いも滞っていて気が進まない太郎冠者でしたが、酒屋が酒を渡さないので何とか手に入れようと悪戦苦闘。話好きな酒屋に尾張の津島祭や伊勢の浜千鳥の様子などを面白おかしく話すうちに隙を突き、遂に酒を取ることに成功します。

仕舞〈小鍛冶 クセ〉
一条院から剣を打つよう勅命を受けた三条の小鍛冶宗近。有能な相槌を求めて稲荷明神に祈願に向かう途中で会った童子は剣の威徳を語り、宗近を励まします。今回は萱津神社の縁起に因み、日本武尊が敵に囲まれ草に火を放たれた折、剣で草を薙ぎ払って難を逃れたという「草薙剣」の話の部分を上演しました。

仕舞〈楊貴妃〉
唐の時代、玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を描いた『長恨歌』を題材とした演目。楊貴妃は死後、仙女となり、玄宗の使いで訪ねてきた方士に皇帝への思いを語ります。中世日本には楊貴妃が住んだ蓬莱宮は尾張の熱田神宮であり、楊貴妃は熱田の女神であるという言い伝えが残っています。

仕舞〈花筐 クセ〉
大迹部皇子は照日ノ前を寵愛していましたが、天皇に即位するため別れに際して花筐(花籠)を贈ります。悲しみのあまり物狂いとなった照日ノ前は後を追って都に上り、即位した天皇の行列に出会って恋慕の情を訴えます。仕舞では、漢の武帝が亡き李夫人の姿を甘泉殿の壁に描かせ、反魂香を焚いて面影を偲んだ故事を照日ノ前が語る部分を上演しました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/331876/LL_img_331876_2.jpg
復曲能〈不逢森〉

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/331876/LL_img_331876_8.jpg
狂言〈千鳥〉

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/331876/LL_img_331876_6.jpeg
萱津神社

■開催概要
公演名 : 復曲能を観る会名古屋公演
尾張ゆかりの古能〈不逢森〉復曲初演
サブタイトル: 逢いたい!亡き人の面影を見る香煙の陰
日時 : 2022年11月12日(土) 14時開演/17時10分終演
会場 : 名古屋能楽堂(愛知県名古屋市中区三の丸1-1-1)
内容 : 復曲能〈不逢森〉 狂言〈千鳥〉
仕舞〈小鍛冶 クセ〉〈楊貴妃〉〈花筐 クセ〉
解説 お話
URL : 公式サイト
https://hukkyokunouwomirukai.amebaownd.com/
その他 : 共催・認定NPO法人名古屋能楽振興協会
文化庁ARTS for the future!2補助対象事業


■主催者概要
団体名:一般社団法人復曲能を観る会
代表者:代表理事・加藤眞悟(能楽シテ方観世流)
理事 :長谷川晴彦(能楽シテ方観世流)/古室知也(能楽シテ方観世流)/
奥津健太郎(能楽狂言方和泉流)ほか


■演目/主な出演者
・ご挨拶 加藤眞悟(復曲能を観る会代表)

・お話 青木知治(萱津神社宮司)

・仕舞〈小鍛冶 クセ〉 観世喜正
・仕舞〈楊貴妃〉 久田勘鴎※ 「鴎」:正しくは旧字体
・仕舞〈花筐 クセ〉 梅若万三郎

・狂言〈千鳥〉
酒屋・野村又三郎
主・松田高義※ 「高」:正しくはハシゴダカ
太郎冠者・奥津健一郎

・解説 〈不逢森〉の復曲について 伊海孝充(法政大学文学部教授)

・復曲能〈不逢森〉
女(娘)・加藤眞悟
僧・古室知也
商人(父)・安田登
宿主・奥津健太郎

笛 槻宅聡
小鼓 久田舜一郎
大鼓 大倉正之助


■復曲能を観る会とは
「能と狂言の力で人と人を繋ぎたい」「復曲は埋もれた文化遺産の発掘」
このふたつの言葉を柱に、現在は演じられない室町時代の演目の復曲(再興)を通じて古人が大切にしてきた文化を再認識し、生きている伝統芸能を未来に繋げたいと願う能楽師の加藤眞悟、長谷川晴彦、古室知也、奥津健太郎が集い、2021年5月に任意団体「復曲能を観る会」を設立しました。2022年3月には一般社団法人となり、継続的・発展的な活動を目指しています。コロナ禍からの文化芸術活動の再興を支える文化庁ARTS for the future!2の採択も昨年に引き続いて決定し、10月9日の東京公演〈和田酒盛〉と11月12日の名古屋公演〈不逢森〉は補助対象事業として開催しました。


■本件に関するお客様からのお問い合わせ先
一般社団法人復曲能を観る会
TEL : 045-481-8704(加藤)
FAX : 045-481-8704(加藤)
Mail: fukkyoku.noh@gmail.com
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