移動スーパーとくし丸車両
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株式会社とくし丸 取締役 佐藤 禎之
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■深刻化する高齢者の消費者トラブル 65歳未満の約3倍もの金額を支払っている
昨今、高齢者・障がい者の消費者被害が社会課題となっています。消費生活相談件数の推移をみると、1980年代半ばに、年間10万件程度であったものが、現在では年間約90~100万件程度に増大し、高止まりの状況が続いています。高齢者のいる家に電話をして商品を契約させる「電話勧誘販売」や、業者が家に来て商品やサービスを契約させる「訪問販売」のトラブルに巻き込まれ、被害にあうケースが後を絶ちません。
高齢者(65歳以上)に関する相談は全体の約35%で、65歳以上の高齢者に関する消費生活相談件数は、2018年は約35.6万件と、この10年間で最も多くなりました。また、実際に支払った平均金額は、65歳以上では約90万円に上り、65歳未満の約3倍に達しています。
このような状況を受け、本事業を受託した株式会社 船井総合研究所(本社:大阪府大阪市、代表:真貝 大介)と共に、東京都新宿区と鹿児島県奄美市の「移動スーパーとくし丸」において、販売員がお客さまに対し消費者トラブルに関するヒアリング調査を行い、注意喚起等の啓発を実施する運びとなりました。消費者の安全・安心な消費生活の実現に向けて連携をとりながら本事業を進めてまいります。また、本事業に取り組む中で有益な調査結果が得られていることから、さらに調査エリアの拡大を推し進めることと並行して、各省庁や自治体との官民連携をより一層推進していきたい考えです。
出典 : 「高齢者・障がい者の消費者トラブル見守りガイドブック」
(消費者庁)
該当ページURL: https://bit.ly/3RGZBB8
■取り組みの背景
「移動スーパーとくし丸」は、食品や生活雑貨を販売するという事業を通じて、効果的な「見守り」の機能も果たしています。週2回訪問し、対面でお客さまと接することを続けていくと、販売員は小さな異変でも察することができるようになります。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/326229/LL_img_326229_1.jpg
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これまでにも、お客さまの憔悴した様子に気付き、落ち着いて話を聞いて、然るべき対処をしたことで消費者トラブルを未然に防いだ事例がいくつもありました。
とくし丸・地域スーパー・自治体との三者間で「見守り協定」を結び、緊急時の情報連携や活動内容を報告書にまとめて提出する体制も整っています。
そうした経緯があり、とくし丸として日々の「見守り活動」に加え、対応が必要となる前段階で消費者トラブルに見舞われないためのサポートができないか、と検討しておりました。
本事業は、80歳前後を中心としたお客さまに対して、販売員が消費者トラブルに関するヒアリングをしたり、直接注意喚起ができるという「移動スーパーとくし丸」ならではの仕組みに、消費者庁が着目し、「消費者トラブルに関するヒアリングや情報提供」がお客さまの日ごろの見守りにつながるという点にとくし丸が共感したことから実施に至りました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/326229/LL_img_326229_2.jpg
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■実施概要
実施スケジュール:2022年5月~2023年2月
実施エリア/台数:東京都新宿区 丸正総本店/2台
鹿児島県奄美市 グリーンストア/2台
実施内容:
<事前研修の受講>
・本事業の実施にあたり、販売員は、消費者問題の専門家から「昨今の消費者問題の動向」「典型的な消費者問題の事例」等を座学で学び、消費者トラブルの発見につなげるための知識・ノウハウを習得するとともに、「実際の見守り活動においての進め方・注意点」の具体的な方法についてもレクチャーを受けています。
<ヒアリング調査>
・お客さまが買い物の際に
「過去・現在の詐欺被害や消費者トラブルがなかったか?」「電話や訪問による怪しい人物からのコンタクトがなかったか?」を対面で販売員がヒアリング
<集約・情報提供>
・悪質商法に関わる最新事例等について、とくし丸本部より自治体へ情報を共有
ヒアリング調査
結果事例(一部抜粋):
オレオレ詐欺、キャッシュカード詐欺、リフォーム詐欺、投資詐欺、還付金詐欺、訪問買取など、多くの事例が報告されました。
<80代女性 キャッシュカード詐欺>
電話で「還付金があるので、口座カードと携帯を持ってきて」と言われた。「携帯を持っていない」というと電話を切られた。
<70代女性 訪問買取>
「不要な洋服を買う」と訪問してきた人物がいて、家の中の不要なものを売り渡そ うとしたところ、興味を示さず貴金属類を売るよう要求された。結局、指輪を1つ売り渡す。他の物は「お金にならないから」と買取りしてくれなかった。同時期に周辺宅も訪問していた様子。その他電話での貴金属買取の連絡も経験。
<90代男性 投資詐欺>
ご高齢の一人暮らしの男性の元に「老人ホーム施設を建てる投資話」の電話があり信用してしまった。県外に住む子どもたちの話にも耳をかさず、現金を準備。娘さんたちが弁護士や警察へ相談したことで事なきを得た。本人は犯人が逮捕されるまで詐欺だとは全く疑っていなかった。
■株式会社とくし丸 取締役 佐藤 禎之より今後の展開について
本事業を通じ、販売員からお客さまへ消費者トラブルの情報提供をしたり、ヒアリング調査を重ねる中で、被害を被りそうな事案をお客さま自ら報告いただくケースも出てきており、お客さまの消費者問題への危機意識の向上を実感しております。
このように有益な成果が出てきていることから、東北や四国地方などエリアを広げて本事業を展開できるよう準備を進めています。
さらに「買い物支援」や「見守り活動」の機能を担う「移動スーパーとくし丸」ならではのプラットフォームを活用し、地域の社会課題を解決していけるよう、各省庁や自治体との官民連携も推進していきたい考えです。
■地方消費者行政に関する先進的モデル事業とは
「令和4年度 地方消費者行政に関する先進的モデル事業」とは、消費者庁が民間事業者との連携のなかで進める事業であり、今回はその中の一つ、「高齢者、障がい者等を見守るネットワークの構築及び地域活性化の実証」に当たります。
この事業では、地方消費者行政の政策効果最大化を目指し、広域連携や官民連携等の行政手法を活用しつつ、地域関係者が一体となって取り組む体制の整備を目指します。
・地方消費者行政に関する先進的モデル事業 概要
事業委託元 : 消費者庁
事業委託先 : 株式会社 船井総合研究所
事業再委託先: 株式会社とくし丸
事業期間 : 2022年5月~2023年2月
URL : https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/advancedmodel/index.html
事業概要 :
地方消費者行政における政策効果の最大化を目指し、広域連携や官民連携等の新たな行政手法を活用しつつ、地域の関係者が一体となって取り組む体制の整備が必要である。国が公募した民間事業者・団体等をプラットフォームとして、新たな手法により、地方消費者行政の更なる充実・強化に向けた取組を実現する先進的モデル事業(以下「本事業」という。)を実施。
高齢者、障害者等を見守るネットワークの構築及び地域活性化の実証をテーマとして、本事業を実施。
■株式会社 船井総合研究所 概要
場所:大阪府大阪市中央区北浜4-4-10
代表:真貝 大介
設立:1970年3月6日
概要:中堅・中小企業を対象に専門コンサルタントを擁する経営コンサルティング会社。
「成長実行支援」「人材開発支援」「企業価値向上支援」「DX支援」を通じて、社会的価値の高い「グレートカンパニー」を多く創造することをミッションとする。
■「移動スーパーとくし丸」について
47都府県で1000台以上のトラックを活用し、約15万人のお客さまに商品をお届けする移動スーパーです(2022年8月末時点)。スーパーの超大型化&郊外化で、近所のスーパーが撤退し、日常の買い物に不自由している人たち、いわゆる「買い物難民(買い物困難者)」が増えてきています。その大半はシニア層です。
「買い物」という行為は、生活の中の「お楽しみ」であると考え、シニアのみなさまが現物を「見て・触って・感じて・選んで」本来の「買い物」ができるよう、「移動スーパーとくし丸」が誕生しました。
メインのお客さまは80歳前後の女性で、週に2回程度訪問し、その都度販売員がお客さま一人ひとりと目を合わせ、会話し、商品や情報を丁寧にお届けすることが可能です。「おばあちゃんのコンシェルジュ」を目指し、販売員がお客さまにおすすめしたい商品ばかりを厳選した約400品目、約1,200点もの商品(2022年8月時点)をご提供しています。
とくし丸URL: https://www.tokushimaru.jp/
■オイシックス・ラ・大地株式会社について
オイシックス・ラ・大地株式会社(代表:高島 宏平)は、「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の国内主要ブランドを通じ、安心・安全に配慮した農産物、ミールキットなどの定期宅配サービスを提供しています。子会社の買い物難民向け移動スーパー「とくし丸」や、米国でヴィーガンミールキットを展開する「Purple Carrot」も含め、食のサブスクリプションサービスを広げています。
当社は、「サステナブルリテール」(持続可能型小売業)として、サブスクリプションモデルによる受注予測や、ふぞろい品の積極活用、家庭での食品廃棄が削減できるミールキットなどを通じ、畑から食卓まで、サプライチェーン全体でフードロスゼロを目指しています。