米軍基地反対のデモ1
米軍基地反対のデモ2
スコットランド独立運動
THINKは、この社会問題の取材先として沖縄を選びました。沖縄がかつては琉球王国という独立した国家であったことや戦中戦後の沖縄の詳細はあまり世界に知られていません。番組制作にあたり、関係者に取材をし、以下の内容を3か国語で発信を始めています。
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米軍基地反対のデモ1
沖縄の今、米国が統治権を返還してから50年、沖縄の住民は中央政府からの解放と米軍基地の縮小を求めています。
先日行われた沖縄返還50周年記念式典で、岸田文雄内閣総理大臣が沖縄の米軍基地負担を軽減すると約束したことを思い起こします。
沖縄県民の大多数は、第二次世界大戦後に建設された米軍基地が公害や騒音の原因になっているとして、その存在に反対しています。市民の中には、地元住民を傷つける暴力犯罪が、米軍関係者に起因するとし、先住民族である琉球人の文化、歴史、言語が日本と米軍関係者のせいで失われつつあると主張する人もいます。この亜熱帯の列島地域は、1879年に日本に武力侵略されるまで、独立した琉球王国として存在していました。
この10年、旧ヨーロッパ大陸では、住民の自決権についての議論が盛んに行われてきました。
独立反対派は、英国のスコットランド地方とカタルーニャ地方の独立の強い動きを治めることはできていない。カナダのケベック州においても同じような独立運動が起こっています。
欧米の独立系ジャーナリストのグループが、世界各地を訪ね、その文化的背景や問題の根源について明らかにするためこれらの独立運動の中心となる人物たちを取材しています。
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米軍基地反対のデモ2
琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)は、県内の学者を中心に構成されています。この運動のリーダー的存在の一人である沖縄国際大学経済学部 地域環境政策学科教授の友知 政樹氏が、スコットランドとカタルーニャを訪れ、独立派の指導者と会談しました。この経験の後、ACSILsは世界中の他の独立派、特にスコットランド、バスク、カタルーニャの運動の代表者とネットワークを作ろうとしています。ACSILsのメンバーは、「独立住民投票の実施を目指すスコットランドで何が起きているのか、非常に興味がある。」としています。
以下、沖縄国際大学経済学部 地域環境政策学科教授の友知 政樹氏に現状をインタビュー↓内容を紹介します。
【Q:友知先生、スペインのカタルーニャ独立の状況はご存じですか?】
私の専門は琉球(沖縄)の独立です。ですから、カタルーニャの独立運動について研究しているわけではなく、カタルーニャの独立運動と沖縄の独立のケースを比較するために研究しています。私は2019年に1年間、カタルーニャに住んでいました。カタルーニャのケース、スコットランドのケース、沖縄のケースを調べた上で、どのケースもそれぞれ異なる側面を持つと考えています。
独立という概念の一番大切なものは、市民の自己決定権だと考えています。2017年にカタルーニャで独立住民投票が行われ、街には機動隊の姿がみられました。そして、独立住民投票に賛成のリーダーたちが投獄されました。私は住民投票の結果がまったく尊重されないという事態はあってはならないと思います。
沖縄でも同じような状況があります。独立を問う住民投票ではありませんが、米軍基地に対する住民投票が実施されました。しかしながら、日本の中央政府は、沖縄の住民投票の結果を無視し続けています。そういったこともあり、私はカタルーニャの状況に共感しているのです。
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スコットランド独立運動
【Q:沖縄の現状はどうですか?】
10年前は誰も勇気がなく言わなかったことが、今は少しずつ言われるようになり、新聞にも書かれるようになりました。沖縄の現状の根底にあるものは「沖縄差別」です。沖縄はかつて琉球という独立国でした。しかし、明治維新の後、琉球は強制的に日本に併合されました。それが約150年前のことです。そして、日本の中央政府による同化政策が行われたのです。双方が対等で友好的であれば、併合することが悪いとは言いません。ただ、残念なことに琉球人に対する差別があったのです。
差別の事例として非常に象徴的なのが、1945年の沖縄戦です。沖縄戦の本質は、日本軍が沖縄を守るためにアメリカ軍に立ち向かったということではありません。日本の本土を守るために沖縄が犠牲になりました。
それを“捨石作戦”といいます。つまり、日本政府にとって、沖縄は守るべき対象ではなかったのです。自国を守るためなら、沖縄を犠牲にしても構わないと思っていたのです。1952年、連合軍と日本とのサンフランシスコ講和条約により、日本は独立します。その時、「50年から100年、沖縄をアメリカに譲り渡す代わりに、天皇制を廃止しない」という内容の天皇メッセージというものがあったことは忘れてはなりません。文章はそんな直接的な言い方ではありませんが、内容はこのようなものです。つまりまた沖縄は日本の犠牲になったのです。そして、沖縄は日本に返還されましたが、今でも米軍基地が存在しています。つまり、この問題の原点は、150年前の沖縄への差別意識にまでさかのぼります。
そして、もうひとつ言及すべきこととして、日本政府は琉球が独立国であったことを認めていないということがあります。
【Q:沖縄の米軍基地の主なデメリットは何だと思われますか?】
デメリットはたくさんあります。例えば、米軍基地関係者の犯罪は、教育が行き届いていない新人兵士を送り込むことに起因していると思います。そして、アメリカ人が日本国内で何か罪を犯したら、まずアメリカの法律で裁かれなければならないという日米地位協定(1971年)とうものが存在します。韓国も同じような協定を結んでいます。ドイツにも大きな米軍基地があり、日独地位協定がありますが、これは両国にとって対等な協定であり、日本や韓国で結ばれているようなものではありません。この協定によって、米軍基地関係者の間に特権意識が生まれているのです。
もうひとつは事故です。2004年、私の勤める大学で米軍のヘリコプターが墜落しました。ここ数年は畑などでも墜落事故が起きています。
また、騒音という問題は深刻です。生活できない騒音レベルの場所もあります。
さらに現在、PFAS(有機フッ素化合物)が大きな問題になっています。これまでに45万人分の飲料水を汚染し、最近の調査によると、さらに多くの土壌汚染が広まっているということがわかってきています。
そして最後に、戦争が起こったとき、米軍基地があるから安全というのではなく、軍事基地があるからこそ、戦争の標的になってしまうというリスクもあります。
「百害あって一利なし」だと思っています。
ですから、沖縄の独立ということと、アメリカ軍基地があることで沖縄が受けている損害について、もっと世界各国そして国連が注意を向けてほしいと思っているわけです。
【Q:琉球文化の現状についてはいかがですか?】
伝統文化が薄れつつあるのは事実かもしれません。例えば、アメリカ軍が駐留する以前、琉球が日本に植民地化されたとき、私たちの言語を禁止し、一時は消滅しかけました。幸いに今、その琉球語を復活させようという動きがあります。
【Q:カタルーニャやスコットランド、ケベックなどが独立を主張することで、大企業が撤退する事態が発生していますが、沖縄でも同じようなことが起こり得るのでしょうか。】
短期的、過渡期においては、政府の圧力で大企業が懸念を示し、日本の大企業が沖縄から撤退したりすることはあるでしょう。
しかし、沖縄は日本だけでなく、韓国、台湾、東南アジア諸国、中国にも近いという地理的条件が有利に働きます。つまり、我々の顧客は日本だけではないのです。したがって、中長期的には経済問題は改善されるでしょう。
地理的には東アジアの玄関口であるといえます。また、沖縄では何十万人もの人が戦争で犠牲になりました。そのため、戦争の恐ろしさ、悲惨さを知っているのです。このような経験から、沖縄は平和の大切さを伝える発信地となり得るのです。例えば、国連のアジア本部を沖縄に設置することなども考えられるのではと思っています。
THINKはこの問題について更に取材を続けていきます。
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