今年6月に新種記載され、緊急指定種に登録されるベニエリルリゴキブリ(柳澤静磨氏撮影)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/265303/LL_img_265303_1.png
今年6月に新種記載され、緊急指定種に登録されるベニエリルリゴキブリ(柳澤静磨氏撮影)
【発表のポイント】
(a) 世界自然遺産登録を目指す沖縄島北部などを含む南西諸島から、絶滅のおそれのある2種のゴキブリと1種のオオムカデが、海外を含む採取者に注目されることによる捕獲圧が、本種の存続に重大な支障が生じる恐れがあることから緊急的に「種の保存法」の緊急指定種に指定され、捕獲・殺傷・販売などの行為が法律下で禁止される。
(b) 指定されたのは、(1) 世界で3例目の半水棲ムカデとして、今年4月に、法政大学島野智之教授と東京都立大学・国立科学博物館などのチームによって記載されたリュウジンオオムカデ(南西諸島の複数の島に分布)、(2) 2020年11月に法政大学・竜洋昆虫自然観察公園・鹿児島大学等のチームによって新種記載されたウスオビルリゴキブリ(与那国島のみ)、(3) 同チームによって、今月6月に新種記載されたベニエリルリゴキブリ(宮古島のみ)の2種のゴキブリ。いずれも美麗な種、合計3種。
(c) 該当種はネットオークション等でも頻繁に売買されており、本種とみられるオオムカデも高額で販売されている。
(d) 「いわゆる不快害虫」でもあるゴキブリ、ムカデの一種が「種の保存法」の国内希少野生動植物種または緊急指定種に指定されるのは初めて。
緊急指定種は、種の保存法第5条に基づき、環境大臣が指定するものです。特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種について、捕獲・殺傷、譲渡し、輸出入、陳列等が禁止される緊急的な措置です。指定の期間は、3年が限度となります。指定期間中に科学的知見の集積や今後の保全方針の検討がなされる予定です。
(1) リュウジンオオムカデScolopendra alcyona
オオムカデ属の一種として世界で3例目の半水棲ムカデとして、法政大学島野智之 教授(動物分類学)・東京都立大学・国立科学博物館などのチームによって、2021年4月に記載されました。南西諸島の複数の島に分布していますが、各島における生息地は限られています。
(2) ウスオビルリゴキブリEucorydia donanensis
ルリゴキブリ属の一種として、法政大学・竜洋昆虫自然観察公園・鹿児島大学などのチームで、2020年11月に公開された論文で新種として記載されました。ルリゴキブリはネットオークション等でも生体が頻繁に売買されており、まれに野外採集個体の標本が販売されることもあります。本種は他のルリゴキブリ属と同様森林性で腐植質に依存すると考えられますが、生息地点は与那国島の一部のみに限られています。
(3) ベニエリルリゴキブリEucorydia miyakoensis
ルリゴキブリ属の一種として、同法政大学・竜洋昆虫自然観察公園・鹿児島大学などのチームで、2021年6月に公開された論文で新種として記載されました。本種は他のルリゴキブリ属と同様森林性で腐植質に依存すると考えられますが、生息地点は宮古島の一部のみに限られています。
※いずれも、今回新種と発表され注目されることによる捕獲圧が本種の存続に重大な支障が生じる恐れがあることから緊急的に規制を行われます。
○環境省報道発表
http://www.env.go.jp/press/109741.html