デジタルツイン化システムイメージ
「ニチガスツイン on DL」は、IT戦略パートナーであるフューチャー株式会社と当社が共同で開発し、LPガス事業にかかわるコンベア、充填機、ボンベ及び車輌などのIoTリアルデータや物理的な資産をサイバー空間上に再現することにより、直接現地に出向かなくても、その状態を把握したり操作することを可能にしたシステムです。一般的にはCPS(*4)と呼ばれるシステムですが、「ニチガスツイン on DL」の特長は、LPガス事業における製造(充填)、配送、在庫、需要から構成される一連のサイクルから収集したデータを、サイバー空間上でAIがディープ・ラーニングによって成長しながら分析・処理することにより、LPガス事業における環境負荷の低いシステムを更に最適化することができる点です。
これにより、この事業サイクルに関わるガス事業者、配送会社や個人のコスト負担・環境負荷が軽減され、メリットをもたらします。当社はガスメーターをデジタルツイン化したシステムであるMDDM(*5)を構築し「スペース蛍クラウド」として2020年5月より外部提供を開始しておりますが、「ニチガスツイン on DL」は、この「スペース蛍クラウド」を包含したCPSです。
将来的には、業界でLPG託送領域(配送、容器管理、メーター管理、自動検針、保安業務等)の共創環境のベースシステムになるものです。統一容器、統一メーターによる託送領域のDX実装による協業は、都市ガス託送との合流DX化や電気を含めたエネルギー託送のDX実現による、ESGと株主利益の両立をエネルギー業界で目指すものです。
LPG配送、保安領域はDX実装による働き方改革のユースケースの山です。将来的には事業者ごとの容器、メーター管理はなくなり、中古メーターの発生や容器管理の複雑さが解消されます。当社は当該領域の共創は、配送員や保安検査要員の業務効率化による人的リソース確保や働き方改革にも欠かせないものと考え、共創システムの共有に取り組んでいます。
今後当社は「ニチガスツイン on DL」を「夢の絆・川崎」のみならず、全ての供給設備、デポステーション、ボンベ、車輌などの物理資産に適用し、サイバー空間上で監視、管理及び操作することを可能にします。また、緊急事態にはサイバー空間上で資産状況を即座に把握することで、災害対応の迅速化を図ります。これまでは人的リソースに頼らないと被災状況の把握が困難なケースがありましたが、本システムの導入により、早急な被害状況の把握と迅速なお客様への対応が可能になります。
さらに当社は、広く他エネルギー事業者と本システムを共同利用することにより、利用する各社がエネルギーを供給しているエリアに対して、災害対策システム環境やオフグリッドシステム(*6)へのデータ提供環境を構築してまいります。本システムによる他事業者との連携を深める事で、当社はSDGsへ大きく貢献し、パートナーシップの強化と環境に配慮したエネルギー事業の展開を実現してまいります。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/259655/LL_img_259655_1.png
デジタルツイン化システムイメージ
*1 デジタルツインとは、現実の世界から様々な情報を取得することによって、仮想空間(サイバーやデジタル)に実世界(物理世界)の情報を双子のように再現する技術のこと。
*2 DLは、ディープ・ラーニング(Deep Learning)の略。
*3「夢の絆・川崎」は、当社が「LPG 託送」という新たな共創環境の実現を目指して建設した、DX実装の世界最大級のLPガスハブ充填基地。当社プレスリリース( https://ssl4.eir-parts.net/doc/8174/announcement15/67297/00.pdf )
*4 CPS(Cyber Physical System)とは、実世界(物理世界)の多様な情報をセンサーネットワーク等で収集し、コンピューターによる仮想空間(サイバーやデジタル)に取り込み、情報分析・解析し、業務効率化や社会全体の活性化を図る概念。
*5 MDDM(Meter Device and Data Management)とは、当社が開発したガスメーターをオンライン化する「スペース蛍」及び「ニチガスストリーム」、さらにそれにより収集されるデータを管理するシステムのこと。
*6 オフグリッドシステムとは、電力会社の送配電網に頼らずに自然エネルギーや自家発電・蓄電池等によって電気をはじめとするエネルギーを自給自足できるシステムのこと。