
太平洋戦争末期に激戦地となった硫黄島(東京都小笠原村)で3月28日に日米合同の慰霊式が開かれた際、同島での戦いに参加した米軍の退役軍人たちが「最後の訪問になるかもしれない」と、同島を象徴する摺鉢山に登ることを希望し、日本側の協力で実現した。「願いをかなえてくれてありがとう」と涙を流して感謝する米側の関係者もいたという。
同島の合同慰霊式は、かつて戦った者同士が共に慰霊するという極めて異例の取り組みとされる。式典には、同島での戦いを経験した90代や100歳超の元米軍人4人が参加。高齢で車椅子を利用していたため、当初は摺鉢山に登る計画はなかった。本人たちの希望を受け、その場で日本側が調整。日本政府関係者によると、全員が支えられながら山頂に登り、慰霊ができたという。
1945年2~3月の硫黄島の戦いでは、日本兵約2万2000人、米兵約7000人が犠牲になった。米兵が摺鉢山の山頂に星条旗を掲げる写真が当時、米国の対日戦勝のシンボルにもなり、クリント・イーストウッド監督の映画「父親たちの星条旗」では、被写体となった米兵たちのその後の苦悩などが描かれた。
硫黄島を訪問した小泉進次郎防衛相は29日、X(ツイッター)に元軍人の同行者から要望を受け、実現できたことについて、「忘れられない出来事」と投稿。日本側はいったん元軍人らの登頂は難しいと判断したが、ぎりぎりの調整で実現したという。小泉氏は「(摺鉢山での光景を)この目に焼き付けた。和解の力、希望の同盟とはこういうことだと強く思った」と振り返った。
今回の慰霊式には日米双方から約140人が参加した。【田所柳子】
