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旧日本海軍の戦闘機「紫電改」を後世へ 愛媛で新たな展示館建設


 国内で唯一現存する旧日本海軍の最新鋭戦闘機「紫電改」を後世に残すため、愛媛県愛南町で新たな展示館の建設が始まった。建設に伴う機体の移設を巡り県が実施したクラウドファンディング(CF)では、目標金額を大きく超える約8100万円が集まった。新展示館でも、かつて戦争を「体験」した紫電改が戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えていく。

 紫電改は、敗色が濃厚だった太平洋戦争末期、海軍が零式艦上戦闘機(零戦)の後継となる主力戦闘機として導入した当時の最新鋭機。松山市などに駐屯した「第343海軍航空隊」に主に配備された。

 展示館にある機体は、1978年11月に展示館前の久良湾内の水深41メートル地点に沈んでいるのを地元ダイバーが発見。翌年、県が引き揚げた際には、フジツボに覆われて破損箇所はあったものの、ほぼ原型をとどめていた。45年7月24日に豊後水道上空で米軍機と交戦し、未帰還となった紫電改6機のうちの1機の可能性が高いとされる。

 機体を修復した県は80年、引き上げ地点の愛南町に展示館を建てて公開を始めた。開館から半世紀近くが経過し、施設が老朽化したことなどから、隣接地への建て替えを決めた。

 新展示館への機体移設に先立ち調査した結果、機体の状況などから慎重な作業を要することが判明し、移設費は総額約4800万円と見積もられた。当初の想定を大幅に超えたことから、一部についてCFで寄付を募ったところ、約2カ月間で3109人から計8104万円が集まった。うち3800万円を移設費に充て、残りは展示充実のための費用として活用する。

 新展示館は「平和へのくさび」をイメージする三角形の形状とし、2026年度中の完成を目指す。鉄筋コンクリート2階建て(約700平方メートル)で、建設費は5億6000万円を見込む。紫電改が引き揚げられた久良湾を臨み、機体が飛んだ空、沈んでいた海が一望できる。

 10日に現地であった起工式で、県土木部の橋本博史部長は「史実や人々の思いに触れることで、恒久平和の大切さをより深く伝える場とすることがコンセプト」と説明。工事の安全を祈願するとともに、多くの寄付に感謝を述べた。【狩野樹理】

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