
政府・与党は、物価高対策として、国の税収増加分を財源に現金を給付する検討に入った。所得制限なしで、国民一律で数万円を支給する案が浮上している。夏の参院選の公約の柱となる見通しで、自民、公明両党は支給額の具体化に向けて調整を加速させる考えだ。複数の政府・与党関係者が9日、明らかにした。
政府・与党は4月、米トランプ政権による高関税措置や物価高対策として国民一律3万~5万円の現金給付を検討したが、見送りを決定。数兆円規模の財源を裏付ける補正予算案の成立に向けて、野党の協力を得られる見通しが立たなかったためだ。自民、公明両党は、野党各党が主張している消費減税についても、参院選の公約に盛り込まない方針を明確にしており、参院選で訴える「目玉」がないとの不満が与党内で高まっていた。
今回の現金給付案は、2024年度の税収の上振れ分を原資とする方針。7月に確定する税収額は、数兆円の上振れが予想されている。
与党内では1人数万円を給付する案が浮上。政権幹部は「所得制限をかければ時間がかかってしまう。額は2万円以上はいけるだろう」と指摘した。一方、政府内には高額所得者の除外を求める意見もあり、調整を進めている。
公明党は6日に発表した参院選公約に、税収増加分を国民に還元する「生活応援給付」を盛り込んだ。
公明の斉藤鉄夫代表は9日、福岡市内での講演で、給付の額は「数万円」を想定していると明らかにした上で「最終的に自民党と協議しながら決めていきたい」とした。給付方法については「マイナポイントを使って、消費に使ってもらいやすい形で給付する」と提案した。【竹内望、野間口陽】