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栃木の社福法人が架空契約を根拠に農地転用 元地権者が調査求める


栃木市内の社会福祉法人が、架空の土地賃貸借契約を根拠に農地転用申請を行い、市農業委員会が許可した問題が発覚しました。2024年10月に開設された福祉施設のために申請された転用は、元地権者と誤解を伴う契約内容が含まれていました。土地の賃貸借契約が存在しないことが指摘され、行政不服審査が求められています。市農業委員会は、登記上の名義人に基づき申請を受理したと説明していますが、虚偽申請の指摘に対応中という状態です。農林水産省のガイダンスでは、所有者の同意を示す書面の必要性が強調されています。

 栃木市内の社会福祉法人が、架空の土地賃貸借契約を根拠に農地法の農地転用を申請し、市農業委員会が転用を許可していたことが分かった。社福法人は2024年10月にこの土地に福祉施設を開設した。賃貸人とされた元地権者側の一人が今年4月、虚偽申請だとして行政不服審査法に基づき、農業委員会に調査を求めた。

 市などによると転用された農地は同市藤岡町の9255平方メートル。地権者は23年6月ごろまでに地元のバス会社と土地の売買契約を結んだ。社福法人はバス会社から土地を無償で借り受けることを前提に、当時登記上の名義人であった元地権者名で申請し、市農業委員会は同9月、転用を許可した。社福法人は24年10月から土地使用賃借契約(無償)を結んでいる。

 登記簿によると、同月23日に所有権がバス会社に移った。

 元地権者側は、契約相手のバス会社が譲受人として転用手続きを進めたと思っていたが、元地権者の男性が市に情報開示請求した23年8月23日付の農地転用の許可申請書によると、譲受人には「(賃借人)」として「社会福祉法人」とあり、賃貸借権を設定し社会福祉施設に転用するという内容だった。譲渡人には「(賃貸人)」として男性の名前などが記載され、他の9人分については部分的に黒塗りされていた。

 男性は「社福法人との賃貸借契約は存在しない。明らかな虚偽申請だ」と行政不服審査の請求理由を明かした。

 毎日新聞の取材に対し、社福法人の理事長は「元地権者との契約はない」と認めた。その上で「転用許可は、バス会社を譲渡人として申請しようとしたが、農業委員会事務局から登記上の名義人以外はダメと指摘され、元地権者に変更した」と経緯を説明。さらに「譲渡人の変更は事務局からの指導ととらえている」と話した。

 これについて、市農業委員会事務局は「譲渡人は登記上の名義人と農地法が定めており、それを申請者に説明し、受理できる状態で申請を受けた。証明する契約書の写しなどの添付は不要」と釈明した。

 農地転用制度を所管する農林水産省は都道府県や市町村向けの運用の指針で、賃借権など所有権以外の権利に基づき農転申請する場合、「所有者の同意があったことを証する書面」の添付を求めており、都道府県や市町村に通知している。関東農政局は「賃貸借契約であれば、契約書が同意を端的に示す書面になる。法は契約が真性か否かのチェックまでは要求していないが、同意が不要ということではない」と話している。

 申請の適正性、審査、処分の正当性について、市農業委事務局は「申し上げられない」と判断を示さず、行政不服審査請求への対応についても「対応中としか申し上げられない」としている。【太田穣】

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