
14日午後3時過ぎ、航空自衛隊の新田原基地(宮崎県)所属のT4練習機1機が愛知県の県営名古屋飛行場を離陸直後にレーダーから消え、約13キロ離れた同県犬山市の入鹿池に墜落した。機体の一部とみられるものが発見される一方、搭乗していた空自隊員2人が行方不明になっている。防衛省は現地で捜索活動を行うとともに、事故調査委員会を設置し事故原因の調査を始めた。
航空幕僚監部によると、T4練習機は同日午後3時6分、空自小牧基地(愛知県小牧市)に隣接する名古屋飛行場を離陸。その2分後、中部国際空港のレーダーから機影が消えた。今回は訓練飛行ではなく、業務のために飛ぶ「要務飛行」だった。
複数の関係者によると、墜落したT4は小牧基地で点検修理を受ける予定だった別の航空機に随伴し、新田原基地から飛来。修理予定機のパイロットを乗せて新田原基地に帰還する途中だった。機体は1989年に製造され、飛行前の点検で機体に異常は確認されなかった。搭乗者2人はいずれもベテランのパイロットで、操縦席の脱出装置を使用した形跡は確認されていないという。
愛知県警などによると、午後3時過ぎ、入鹿池で「戦闘機のようなものが墜落した」と釣り人から110番があり、駆けつけた警察官が水面に油が浮かんでいるのを確認した。機体の主要部は池に沈んだ可能性がある。入鹿池は農業用のため池で、広さ1521平方メートル、貯水量は1万5188立方メートル。
防衛省は、入鹿池付近で機体の一部とみられるものが発見されたことや、水面に油が浮いていることなどを総合的に判断し「機体が墜落した」と断定した。
T4は練習機として開発され、空自は197機を保有。空自パイロットの多くがT4で操縦技術を磨いてきた。航空幕僚監部によると、T4の重大事故は過去に3件発生しており、いずれも訓練中の事故で計7人が死亡したという。【松浦吉剛、千脇康平】