
中野洋昌国土交通相は22日の閣議後記者会見で、トランプ米大統領が米国からの輸出を妨げる「非関税障壁」の一例として、自動車に関する「日本のボウリング球試験」を挙げたことに関し、そうした試験は存在しないとの認識を示した。実際の試験では「歩行者の頭を守るために、ボンネットが衝撃を吸収する性能を確認する」と説明した。
トランプ氏は20日、自身の交流サイト(SNS)への投稿で非関税障壁の八つの事例を示し、うち一つに日本の自動車の安全基準を挙げた。1期目の2018年にも「ボウリングの球をボンネットに落とし、車体がへこんだら不合格になる」と主張したことがある。
国交省によると、日本で新車を販売するのに必要な試験のうち、43項目は国際基準で決めたもの。「ボウリング球試験」は存在せず、歩行者保護の基準の審査として、2種類の球状の装置(重さ4・5キロと3・5キロ)をボンネットに時速35キロで衝突させ、装置の損傷の度合いを計測する。ボンネットの強度ではなく、いかに車体が衝撃を吸収し、歩行者にダメージを与えないかを評価するものだ。
日本の安全基準は欧州連合(EU)などと共通の国際基準で定めているが、米国はこの枠組みに参加しておらず、米国とは基準が一部異なる。【木村敦彦】