自民党は19日に厚生労働部会を開き、首相が質疑に出席する重要広範議案に指定されている年金制度改革法案を、今国会に提出するか議論を再開した。企業や現役世代の一部に負担を求める内容が盛り込まれており、夏の参院選を控える与党内から提出を断念するよう求める意見が上がっていた。同日の部会では結論が出なかったため、引き続き議論する。
法案は、パート労働者ら短時間労働者への厚生年金の適用拡大策や、厚生年金の積立金を活用した基礎年金の給付水準を3割底上げする案などが主な柱だ。厚労省は自民党年金委員会での議論を1月末で終え、2月中旬ごろに厚労部会の了承を取り付け、3月初旬にも法案を提出したい考えだった。
だが、参院を中心に与党内で慎重論が根強く、野党から批判もあったことから議論が進められなかった。政府・与党内では、与野党協議で局面を打開したい思惑もあったが、「密室での協議には応じられない」(立憲民主党の長妻昭代表代行)など反発する声も上がっていた。
このため、法案提出の目安だった14日まで調整が付かなかった。ただ、石破茂首相は法案を提出する構えを崩さず、16日に法案提出に向けて調整を急ぐよう福岡資麿厚労相に指示していた。
この日の厚労部会では、厚生年金の積立金を活用して基礎年金の給付水準を底上げする案について、出席議員から「厚生年金の流用で反対」との声もあった。部会後に取材に応じた自民党の古賀篤厚労部会事務局長は「負担増の懸念の声はあるが、将来受け取る年金も考えて法改正に取り組もうとしており、狙いを丁寧に伝えていかなければならない」と理解を求めた。【宇多川はるか、阿部絢美】