
国内フードデリバリー大手のウーバーイーツジャパンは11日、一部店舗で提供している「お持ち帰り」機能を4月以降に全国に拡充すると発表した。年内に全国に12万超ある加盟店の1割強に当たる1万5000店舗で利用できるようにする。同社は「物価高が続き、家計負担が日に日に増している。少しでも負担軽減に貢献したい」とする。
お持ち帰り機能は2019年に一部店舗で導入。配達では上乗せされる配送料とサービス利用料が不要なため、割安で利用できる。今年4月以降は、持ち帰りの場合に店頭価格と同じ値段を提示することを推奨し、透明性のある安価なサービスを目指す。
外食・中食市場データサービス「CREST」を提供するサカーナ・ジャパン(東京)の調査によると、国内のフードデリバリー市場は、新型コロナウイルス禍にあった20年に前年比約50%増の6271億円になった。23年に8622億円まで拡大したが、24年は縮小して7967億円となる見込みだ。出勤や外食の機会が増えたことに加え、インフレによる節約志向の高まりもデリバリー需要を押し下げた模様だ。
ウーバーイーツジャパンは「これまで利用したことがなかったお客さまにも、全国での『お持ち帰り』拡充を契機にお試しいただき、高い利便性をご体験いただきたい」と呼びかけている。
同社は21年9月から全国47都道府県でサービスを展開。今年3月には10県の22市が新たにサービスエリアに加わる。同社によると、1カ月以内に稼働実績がある配達員は現在10万人に上るという。
配達員の報酬引き下げがあったとされ、年末年始などに配達遅延が増えているとネット交流サービス(SNS)などで話題になった。ただ、同社は「配達報酬は下がっていない」と説明する。配達遅延は注文数が配達能力を大きく上回ったために生じたことを確認しているという。【中島昭浩】