
「申請は受け付けられません。あなたには支払いの遅延があります」
大阪府箕面市で暮らす40代の女性が住宅ローンの相談のため銀行を訪れると、窓口でそう告げられた。
申請の拒否は寝耳に水だった。調べてみると、知らない間に女性の信用情報に「傷」が付いていた。
信用情報とは、顧客の信用を判断するための、ローンやクレジットカードなどの取引に関する情報のこと。そこに、支払いの滞納などが記されていたのだ。
「心当たりがなくてびっくりした」
女性が調べると、知らぬ間に自身が2024年2月3日付で、後払い決済サービスに申し込んだことになっていた。後払い決済サービスは、大手ネットショッピングサイトなどで支払いの際、クレジットカードのように利用できる。
誰かがそのサービスを利用して、米アップルのiPhone(アイフォーン)などをコンビニ支払いの割賦方式で購入。25万5000円の支払いが延滞していた。
女性は警察に相談したが、返ってきた答えは「被害届は後払い決済サービスの事業者が出す必要がある」というものだった。アイフォーンなどの代金の支払いが滞り、その負担をして金銭的に損害を被ったのは事業者だからだ。
その後、後払い決済サービスの事業者から「コンビニで支払いが完了している」と伝えられた。女性が動いたことで、悪用した側がお金を払ったのだろうか。
ただ、個人の信用情報を取り扱う指定信用情報機関からは「この事業者からの申し入れがないと、信用情報の訂正はできない」と説明された。今年2月末現在、女性の信用情報は傷付いたままだ。【矢追健介】