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北アフリカ・モロッコのモハメド6世国王は26日、干ばつの影響で国内の羊の数が減少しているとして、6月ごろに行われるイスラム教の犠牲祭で生きた羊の解体をやめるよう国民に求めた。ロイター通信などが報じた。気候変動の影響で干ばつが深刻化する中、水不足が宗教儀式にも影響を及ぼすことになった形だ。
報道によると、モロッコでは近年、干ばつが深刻化し、国内の羊などの家畜が9年前に比べて約4割減少。今季の降雨量も過去30年間の平均の約半分にとどまり、家畜のえさとなる牧草の不足を招いている。
国王は26日、トゥフィク宗教財団・イスラム問題相を通じて声明を出し、犠牲祭の重要性を指摘しつつも「困難な状況で宗教儀式を行うことは、国民の大部分、とりわけ低所得層に重大な害を与えることになる」と述べた。
モロッコは人口約3800万人のうち99%がイスラム教徒。犠牲祭はイスラム教の重要な宗教行事の一つで、羊や牛などの動物を解体し、その肉を家族や隣人、貧しい人々と分け合うのが慣例となっている。【カイロ金子淳】