
化学兵器禁止機関(OPCW)のアリアス事務局長は8日、アサド政権が崩壊したシリアの首都ダマスカスを訪れ、暫定政権のシャラア大統領やシェイバニ外相と会談した。アサド政権が残した化学兵器の処理に向け、OPCWによる支援の方法などについて協議したという。
OPCWによると、会談は長時間にわたり、「生産的で非常に率直だった」という。アリアス氏は声明で「10年以上、シリアの化学兵器に関する調査は止まっていた。シリア国民や国際社会のため(シリアと)ともにこの機会をつかみ、事態を打開しなければならない」と述べた。
シリア内戦では2013年8月、アサド政権がダマスカス郊外で大規模なサリン攻撃を実施したことを受け、米国とロシアがシリアの化学兵器を廃棄することで合意。アサド政権は翌9月に化学兵器禁止条約を批准し、保有する化学兵器をOPCWに引き渡すと表明した。だが、政権による化学兵器の使用はその後も相次ぎ、多くの民間人が被害を受けた。
アサド政権は昨年12月、旧反体制派による攻勢で崩壊したが、国内には多くの化学兵器が残されており、暫定政権はすべて処理する意向を示している。【カイロ金子淳】