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韓国大統領の逮捕状執行、警護庁で意見対立 尹氏「武器使用指示」か


韓国の大統領警護庁では、ユン大統領への逮捕状執行をめぐり、庁内の幹部間で意見対立が深まっている。多くの中堅幹部が執行阻止に反対し、庁長代行の金次長の辞職を求める声もある。金次長のリーダーシップに疑問の声が上がる中、警護庁は内部情報の漏洩に関与したとして幹部1人を停職処分にした。状況は緊迫し、警護庁要員は長期間政府施設に留まる状況が続き、不満が高まっている。さらに、ユン大統領が逮捕状執行時の武力使用を示唆したとの情報もあり、内部の反発を招いている。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状執行を巡り、今月3日には高官犯罪捜査庁(高捜庁)に強く抵抗した大統領警護庁の内部で、今後の対応方針をめぐり意見対立が深まっている模様だ。警護庁要員を電話で取材した韓国メディアや、要員から情報提供を受けた野党議員らが「幹部たちが(執行阻止の方針に)反旗を翻し始めた」などと伝えている。

 韓国紙ハンギョレ新聞によると、12日の朝に開かれた警護庁幹部会議では、出席した中堅幹部のほとんどが逮捕状執行の阻止に反対を表明した。部長級幹部の中からは、逮捕状執行阻止の「強硬派」で警護庁長の代行を務める金声勲(キム・ソンフン)次長の辞職を求める声も出たという。

 また国民日報は「金次長は内部で人望はない。通信防護が専門で、警護の経験や知識も少ない。内部の雰囲気は3日とは確実に変わった」とする警護庁関係者の話を伝えた。

 いつ逮捕状が執行されるかわからないため、同庁要員らは長期間にわたり政府施設で寝泊まりさせられている状態で、現場ではこれに対する不満も膨らんでいるという。

 12日の会議に先立ち、警護庁内部のオンライン掲示板には、逮捕状執行を妨害することの違法性を指摘した文書が投稿され、いったん削除されたものの、再投稿されるといった事態も起きた。

 一方、ハンギョレ新聞は尹氏が警護庁幹部との11日の昼食会の席で、2回目の逮捕状執行時には武力使用を検討するよう求め、これが幹部らの反発を呼んだとの見方も伝えている。最大野党「共に民主党」の尹建永(ユン・ゴンヨン)議員は13日の記者会見で、情報提供があったとして、尹大統領が12日にも幹部との昼食会を開催し、この時は「接近する警察には、銃はだめでもナイフなどを携帯し無条件に防げ」と指示したと明かした。

 警護庁内部の雰囲気が変化した背景には「穏健派」だったとされる朴鍾俊(パク・ジョンジュン)前警護庁長が10日に警察に出頭、さらに辞職したこともある模様だ。警察は金次長にも出頭を要請しているが、応じていない。また警護庁は13日「内部情報を警察関係者などに流出させた」として、幹部1人を停職処分にしたと発表した。一部韓国メディアは、これが金次長の辞職を求めた幹部だと伝えており、金次長が内部の反対論を抑え込もうとしている可能性もある。【ソウル日下部元美】

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