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理研、雇い止め対応変遷 事実上の「無期転換封じ」に訴訟相次ぐ


理化学研究所では、改正労働契約法を背景に、2016年に研究者や事務職員の契約を最大10年と5年に制限しました。これにより、無期転換を阻止するための雇い止めが行われ、184人が影響を受けました。しかし、労働組合の働きかけにより、2023年4月からこの雇用上限は撤廃されました。雇い止めの無効を求める訴訟が起こされており、今回の判決はその第1弾に当たります。理研は新たに、事務系5年、研究系7年の雇用上限を定めるプロジェクトを導入しています。原告側は、これが無期転換を妨げるものであると批判しています。

 日本を代表する研究機関の「理化学研究所」(埼玉県和光市)では昨年春に184人が雇い止めされるなど、研究者と当局の間で労働紛争が繰り広げられてきた。今回の判決は、理研の雇い止めに関する訴訟の第1弾に当たる。

 雇い止めが相次いだのは、2013年4月に施行された改正労働契約法の影響だ。有期労働契約が研究者で通算10年、一般の労働者では通算5年を超えると、申し出があれば雇用主は無期雇用に切り替えなければならない。

 この法改正に対して先手を打ったのは理研だ。16年に、雇用契約の起点を13年にさかのぼって、研究系職員は10年、事務系職員では5年を超える契約を結ばないと就業規則を変更した。事実上の「無期転換封じ」という強硬手段に乗り出したが、労働組合の働きかけによってこの雇用上限は23年4月1日から撤廃された。

 一方で上限撤廃前の同年3月末に雇い止めにあう可能性のあった研究系380人のうち、184人は最終的に失職した。理研は新たに、事務系職員は5年以内、研究系職員は7年程度の雇用上限を設ける「アサインド・プロジェクト」を導入している。

 理研を巡っては、今回判決が出た男性研究者(64)の他、動物実験技師2人も雇い止めの無効を訴えている。原告の弁護団は「理研は一連の行為は無期転換阻止であることを自認し、隠そうとすらしていない。こうした対応を許せば、労働契約法の趣旨が無意味になってしまう」と訴える。【垂水友里香】

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