奈良時代、東大寺(奈良市)の大仏造立に尽力した行基上人(668~749)の顕彰のため、市民有志が続けている「行基さん大感謝祭」で振る舞われる「行基鍋」用の特注大鍋が完成し、9日朝に地元に届けられた。直径1.3メートル、容量280リットルの鉄鍋で、東北の芋煮会用の大鍋を作る山形市の鋳造所が製作。鍋は11月10日に春日大社境内などである感謝祭で振る舞う。
ため池造成などの社会資本整備で有名な行基上人は貧民救済などの福祉事業を指揮したことでも知られ、全国に行基上人を開祖とする寺院が残る。
感謝祭は2018年に市民有志の実行委が開始。専門家のシンポジウムのほか参加しやすい体験型の催しもある。今年は奈良時代のボードゲーム「かりゆし」コーナーや、全国ゆかりの寺院50カ所以上から集めた砂を踏んで霊場参詣を疑似体験する「お砂踏み道場」などを設ける。コロナ禍のため、行基鍋は5年ぶりの振る舞いという。
実行委の尾田栄章会長(83)は「どんな鍋料理になるか楽しみ。長く続けていきたい」と笑顔を見せた。【稲生陽】