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「ニッカウヰスキー」社長、高価格帯で世界トップ10入り目指す


 今年創業90年を迎えた「ニッカウヰスキー」。高価格帯のウイスキー市場の成長を世界的な大きな潮流と捉え、同価格帯で世界トップ10入りを目指すという。為定一智社長に話を聞いた。【聞き手・加藤結花】

 ――現在のニッカは世界40~50位。野心的な目標にみえる。

 ◆「(グローバルトップ10とは)大きく出ましたね」とみなさんから言われるが、元々ニッカは日本にウイスキー市場がない時代に、創業者の竹鶴政孝が、「一人でも多くの日本人に本物のウイスキーを飲んでもらいたい」と始めた会社。大きな志を持つというのは竹鶴さんから受け継いだパイオニア精神の原点だ。

 ――達成時期は明確にしていない。

 ◆ウイスキーというのは熟成が必要で時間がかかる。今の経営幹部が去った後に、ようやく潤沢で、年次バランスのとれた原酒が出てくるようになる。長期戦、持久戦になる。思いを継いでいくという意味でも、「グローバルトップ10」という大きな志を掲げた。思いをつないでいけば達成できる。

 ――高価格帯のカテゴリーに力を入れるのはなぜ。

 ◆高価格帯ウイスキーの伸長は世界的なメガトレンドとされている。つまり「短期的にでこぼこがあっても、10年後に見たら着実に伸びたね」ということになる。高価格帯の商品を強化して、ニッカブランドをつくり、世界に広げていくことで、価格競争に巻き込まれない持続可能なビジネスができる。

 ――一部のウイスキーが高値で取引され、高騰している。この問題をどうみるか。

 ◆ウイスキーは賞味期限がなく40年、あるいはそれ以上古いものになると、文化遺産のような存在になってくるようなものもある。メーカーとしては投資の対象ではなく、飲んでもらうために造っているので、頭の痛いところ。ウイスキー業界が健全に発展していくためには、人材育成・品質・適正価格が重要。何が適正かというのは難しいけれど、品質に応じた適正な価格がある。

 ――ニッカブランドの現在の評価は。

 ◆欧米でのニッカの評判は非常に高い。ニッカブランドの評価が一番低いのは国内の社員という笑い話がある。

 日本では「伝統的」「信頼できる」という点で評価されている。一方、海外では「ユニーク」「イノベーティブ(革新的)」という評価を受けている。

 活況なウイスキー業界で個性を出し、訴求していくためにも、信頼などのイメージを大切にしつつ、(ブランド展開を)もう少し海外寄りにしていきたい。

 ――今後もウイスキーが成長を続けるために重要なことは。

 ◆日本の人口は減り、飲酒する人口も減る。お酒という市場は縮小していく。その中で、ウイスキーを飲んでもらうためには、若い人たちにフィットするようなラインアップや情報提供をしていかないといけないと思っている。

 (ウイスキーは伝統的なお酒とイメージされるが)伝統的というのは裏を返せば堅苦しさにもつながる。自由に気軽に楽しめるということをもっとアピールしたい。

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