小泉龍司法相は27日の閣議後記者会見で、日本で生まれ育ったものの、親の事情で在留資格がない18歳未満の子ども252人のうち、8割超に法相の裁量で日本での滞在を認める「在留特別許可(在特)」を特例で出したと発表した。子どもの家族の在特も一部認めた。
日本では、難民認定の申請が強制送還を拒む手段として誤用・乱用されているとして法改正がなされ、2023年6月に成立した改正入管法は、送還が停止される難民認定の申請を原則2回までに制限した。
ただ、改正法の審議では、日本でしか生活したことがない、落ち度のない子どもも送還対象になるとの懸念が示された。このため、当時の斎藤健法相が23年8月、1度限りの救済策を実施すると公表していた。
出入国在留管理庁によると、救済の対象となるかが検討されたのは、親の事情で在留資格を持っていない、日本で生まれ育った18歳未満の子ども263人。検討の結果、自らの意思で帰国した11人を除いた252人のうち、212人(84%)に在特を出した。
子どもだけでは日本で暮らしていけないケースもあることを踏まえ、212人については、親137人、きょうだい46人の計183人の在特も許可した。
一方、子ども40人(16%)の在特は認めなかった。主な理由は、子どもが就学年齢に達しておらず、日本に定着しているとまでは言えない▽親に反社会性が高い違反や、懲役1年超の実刑、複数回の前科のような「看過しがたい消極事情」があり、他に子の世話をする適切な監護者がいなかった――としている。【三上健太郎】