在米のイスラム教徒の主要団体「エムゲージ」の関連組織は25日、11月の大統領選で、民主党のハリス副大統領を支持すると明らかにした。
パレスチナ自治区ガザ地区で続く戦闘を巡っては、イスラエルの後ろ盾となってきたバイデン政権への批判が高まっており、イスラム教徒の動向が注目されている。
関連組織の「エムゲージ・アクション」は声明で、共和党のトランプ前大統領がイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしていることから、「トランプ氏が当選すれば、パレスチナ人と和平にとって壊滅的な結果となる。反イスラム的な政策を進め、イスラム恐怖症をさらに悪化させる」と批判した。
一方で、「中東の危機を巡る我々とバイデン大統領との見解の不一致はよく知られている。彼には子どもを含む多くの人々を殺害した兵器を、イスラエルに供給し続けてきた責任がある」と指摘。「この支持表明はハリス氏と全ての問題における合意を意味するものではない」とも述べ、トランプ氏の返り咲きを阻むための苦渋の決断だったことをにじませた。
イスラム教徒やアラブ系は従来、民主党の支持基盤だ。接戦7州のうち、中西部ミシガン州ではイスラム教徒が多い。ハリス氏はイスラエルの自衛権を支持しつつ、バイデン氏より強い言葉でパレスチナの人道危機に配慮する方針を打ち出し、イスラム教徒の取り込みを図っている。
だが、若者を中心にバイデン政権のナンバー2であるハリス氏への不信感も根強く、支持を表明していないイスラム教団体も多い。大規模な団体である「エムゲージ・アクション」の支持表明で、どの程度民主党への支持が戻るのかが焦点だ。【ワシントン松井聡】