レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員らが所有するポケットベル(ポケベル)が爆発した事件で、ロイター通信は20日、ヒズボラが爆発の数時間前までポケベルの配布を続けていたと報じた。ヒズボラは配布前にポケベルに異常がないか調べていたが、工作に気づかなかったという。
レバノンでは17日、数千個のポケベルが爆発し、約3000人の死傷者が出た。報道によると、ヒズボラのメンバーが爆発の前日や、当日の数時間前にポケベルを受け取ったケースもあったという。
爆破された機種の導入は2022年に始まり、少なくとも5000個がレバノンに持ち込まれたとみられている。ヒズボラはポケベルを空港の保安検査場などで調べたが、異常は発見できなかったという。
一方、一部のメンバーは異常に気づいたとの情報もある。米メディアは「工作に気づかれた可能性があり、イスラエルが急きょポケベルの爆破を実行した」と報じている。
ポケベルは内部に爆薬が仕掛けられており、遠隔操作で爆発したとみられる。台湾メーカーの製品だったが、ヒズボラと戦闘を続けているイスラエルのフロント企業が製造に関わっていた疑いが強まっている。【エルサレム金子淳】