無罪判決が確定した男性が国に対し、捜査時に採取された指紋やDNA型などを警察庁のデータベースから抹消すべきだとした名古屋高裁判決について、原告の奥田恭正さん(68)=名古屋市=は13日、同市内で記者会見し、上告しないことを明らかにした。国も12日に上告しない意向を示しており、データの抹消命令は確定する見通し。原告側は1、2審で棄却された国や愛知県への賠償責任を求め、上告を検討していた。
今年8月30日の名古屋高裁判決はDNA型などの抹消を命じた1審判決を支持した上で、データベースの保管について違憲性を指摘し、立法化を求めていた。 警察庁の露木康浩長官は12日の定例記者会見で「直ちに立法などの措置が必要になるとまでは考えていない」と、法整備については否定的な見解を示した。
これに対し、奥田さんは「今回の判決がきっかけになって、いい方向に向かってほしい」と話した。弁護団は今後、国や県警に謝罪を求め、データの抹消方法などについて担当部署と協議する方針。【道下寛子】