和歌山県内の小中学校や特別支援学校に2025年大阪・関西万博への教育旅行の来場費を支援する県の事業について、対象となる約370校のうち約4割の150校が参加を希望し、約2割の69校が不参加の意向を示していることが判明した。紀南地方の学校では参加希望が少ない傾向にあり、大阪市内の万博会場から遠く、日帰りが難しいことが課題となっている。
岸本周平知事が9日の定例記者会見で明らかにした。支援事業は県内の私立を含む小中学校、特別支援学校の小学部と中学部などが対象で、万博のチケット全額とバス代の一部を補助する内容。県は8月末をめどに各学校に支援事業への参加意向を問い合わせていた。検討中と回答した52校を含む参加未定の約150校に対し、引き続き意向を確認する。
県万博推進課によると、紀南地方の2市7町1村では対象110校のうち参加希望の学校は1割以下にとどまり、既に半数以上が参加する意向の紀北・紀中地方の学校と差が出た。会場への移動が長時間に及ぶことに加え、補助の対象外となる宿泊費の負担や、宿泊が可能かどうかについて懸念が示されているという。
また、参加未定の学校からは、教員による事前の下見の可否が不透明なことや、小学校低学年を念頭にバスの乗降場所から会場までの距離が遠いことなどから、引率への不安が挙がっているという。県は関西広域連合を通じて日本国際博覧会協会に改善を求めている。
岸本知事は会見で、参加判断を各学校に委ねていることを強調したうえで「国際的な感覚や新しい技術に出会ってもらうことで、生徒・児童の将来に影響を与える機会にしてもらいたい」などと述べた。【駒木智一】