兵庫県の斎藤元彦知事は30日、職員へのパワーハラスメントを含む多数の疑惑を文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委)の証人尋問に初めて出頭した。斎藤氏は疑惑を告発した県西播磨県民局長だった男性(60)を懲戒処分にしたことについて「適切だと思っている」と述べた。
一連の問題を巡っては、元局長が3月、斎藤氏のパワハラを含む多数の疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に配布したことで発覚した。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。
斎藤氏は告発文書について「事実でないことが多く含まれ、誹謗中傷性が高いものだと判断して調査した」と説明。最初に文書を見たことを振り返り、「なんでこんな文書を作るのかと苦しい思いがあった」と語った。
斎藤氏はこれまで一貫して告発内容を否定しているが、百条委が実施した県職員アンケートの中間報告では約4割が「知事のパワハラを見聞きした」と回答した。
23日に実施された県職員6人への証人尋問でも複数の職員が知事から厳しく叱責されたり、その場面を目撃したりしたという証言が相次いだ。「業務上の指導の範囲内だった」とした定例記者会見での知事発言について、「開き直っているような会見で腹立たしい」と述べた職員もいたことが明らかになっている。【芝村侑美、高木香奈】