11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が8日の記者会見で、民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)の元交際相手である政治家を別人と混同していた疑惑が浮上した。
高齢による認知の衰えが不安視された民主党のジョー・バイデン大統領(81)が7月に出馬を断念した後、トランプ氏に高齢不安の矛先が向けられる状況下で手痛いミスとなった。
トランプ氏は会見で、ハリス氏が若い頃に交際していた西部カリフォルニア州サンフランシスコのウィリー・ブラウン元市長(90)によって政界で引き立てられたことについて問われ、次のように答えた。
「ウィリー・ブラウン氏のことは非常によく知っている。ヘリコプターにも一緒に乗ったが、ヘリが緊急着陸する状況になった。彼はカマラに対して大きな役割を果たしたが、私には彼女に関するひどいことを言っていた」
ところが、発言後、当のブラウン氏が米メディアに「トランプ氏と一緒にヘリに乗ったことはない。トランプ氏との会話の中で、ハリス氏のことをけなしたこともない」と内容を全面否定した。
米メディアは、トランプ氏とヘリに同乗したことのあるカリフォルニア州のジェリー・ブラウン前知事(86)と混同した可能性を指摘する。ただ、その際には緊急着陸はなかったという。
報道によると、ハリス氏は郡検事を務めていた1990年代半ば、州議会下院議長だったブラウン元市長と交際していた。元市長には長年別居している妻がいた。ブラウン氏は議長の権限でハリス氏を二つの州審議会の役職に任命した。
共和党は、ハリス氏が州政界の実力者である元市長との私的な関係を利用し、政界で出世したと批判している。【ワシントン秋山信一】