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明治期の遊郭の象徴だった建物解体へ 「特定空き家」に認定 奈良


 奈良県大和郡山市は、明治期の県内公認遊郭4カ所の一つだった同市東岡町に残る象徴的な木造3階建ての建物(延べ約416平方メートル)を、空き家対策特別措置法に基づく「特定空き家」に認定し、年内にも行政代執行で取り壊す方針を決めた。近鉄郡山駅に近く、かつて遊郭として栄えた地域の隆盛をうかがわせる大型建物で、風化して朽ち果てていく様子を撮影するマニアらが訪れるスポットだった。

 市が29日、ホームページで解体を担当する業者を公募で選ぶことを公表した。市としては初の空き家解体の代執行で、費用の上限は1700万円と設定。12月27日までの解体完了を求めている。

 市によると、建築時期は不明だが、老朽化が進んで倒壊の危険性が高いと判断した。近所の人によると、この30年前後は空き家の状態とみられる。

 市内には、明治期の県内の公認遊郭4カ所のうち二つがあった。もう1カ所の洞泉寺町では、売春防止法施行で1958(昭和33)年に一斉廃業した。旧川本楼(旧川本家住宅、国登録有形文化財)は市が99年に買い取り、耐震改修後の2018年1月から「町家物語館」として常時公開している。この建物を含む7棟の遊郭建築が残っていた20年、独特の格子の外観で歴史的風情を残していた棟続きの3棟が解体され、23年にも1棟が取り壊された。

 一方、東岡町では、売春防止法施行後も非合法で売春が続いていたとみられ、1989(平成元)年には、フィリピン人女性らへの大がかりな売春強要事件が摘発された。

 東岡町の風情が好きで、四半世紀前に移り住んだ60代の女性によると、市が代執行で取り壊す建物は2000年ごろには既に空き家だったが、「すごくきらびやかだった」と振り返る。この建物の前には料亭があり、「(俳優の)勝新太郎が来たこともあると聞いた」という。

 遊郭の趣を残していた周辺の木造建物はここ数年で次々と解体され、新しいモダンな住宅の建設が進む。この女性は「町の変化は寂しいですが、この建物は危ないので解体はやみを得ないと思う」と話している。【熊谷仁志】

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