米国の首都ワシントンの連邦地裁は6日、議会侮辱罪で禁錮4月の有罪判決を受けたスティーブ・バノン元首席戦略官(70)に対して、7月1日までに刑事施設に出頭するよう命じた。バノン氏は上訴中だが、連邦地裁は「刑の執行を延期する理由がなくなった」と判断した。バノン氏はドナルド・トランプ前大統領(77)の元側近で、インターネット配信番組を通じて保守派に根強い人気があり、トランプ氏の支持者からは反発も予想される。
連邦地裁は「上訴で有罪が覆ると考えるのに十分な理由がない」と判断した。バノン氏は閉廷後に「草の根の保守運動、そしてトランプ大統領を封じるための判断だ」と記者団に語った。バノン氏側は収監の延期を求めて上訴する方針だ。米国では刑事裁判で有罪判決を受けた場合、上訴中でも刑の執行が始まるケースがある。
バノン氏は、2021年の米連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会の召喚に応じなかったとして、議会侮辱罪で起訴された。22年7月に1審で有罪評決を受け、今年5月には2審で控訴を退けられていた。同様の罪で起訴されたトランプ前政権の元大統領補佐官、ピーター・ナバロ氏(74)は今年3月に南部フロリダ州マイアミの刑事施設に収監された。【ワシントン秋山信一】