2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は、若手建築家が設計したトイレなど計20施設のコンセプトやイメージ図をホームページで公開している。「2億円トイレ」として物議を醸した施設のほか、江戸時代に大坂城の再建に使われるはずだった「残念石」と呼ばれる巨石を取り入れ、SNS(ネット交流サービス)などで話題になったトイレもある。
若手建築家が手掛ける「デザイナーズトイレ」は8カ所を予定。このうち、解体費も含めた建設費が最高約2億円(税込み)となる施設が3カ所ある。空気を入れて膨らませる風船のような屋根をもつトイレは、気温に応じて屋根に水をためることで冷却効果も得られるという。また、水の循環がテーマのトイレは屋根に上ることができ、会場中心部に広がる「静けさの森」を見渡せる。カラフルな積み木のようなデザインのトイレは、移設や組み替えが可能だ。
協会の石毛博行事務総長は5月30日の記者会見で、費用が高額だと指摘されている点について「パビリオンやメインの施設だけでなく、細かい所にも魅力的な建物ができる」と述べた。
「文化財」活用のトイレには賛否も
これら「2億円トイレ」とは別に注目を集めているのが、京都府木津川市の河川敷に残されていた「残念石」を活用したトイレだ。1620年ごろ、大坂城再建のために山から切り出されたが使われず、いつからかそう呼ばれるようになったという。トイレの屋根を支える柱として、石の表面に刻まれた印が利用者に見えるよう配置。「400年もの前の人の痕跡が残っており、人間の力強さを感じることができる」とのコンセプトだ。
しかし、計画が明らかになると、SNS上では賛否両論が飛び交い、専門家からは「文化財の活用法として不適切」との声も出ていた。【鈴木拓也】