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ノルマンディー上陸作戦80年 仏政府、猛反発受けロシア招待撤回


 第二次世界大戦中の1944年6月6日、米国を中心とする連合国軍がナチスドイツ占領下のフランス北西部ノルマンディー地方の海岸に上陸し、対独勝利を決定づけたノルマンディー上陸作戦から80周年を迎え、同地方で6日、記念式典が開かれる。主催国のフランスは当時の同盟国としてウクライナに侵攻するロシアの代表を招待したが、国内外からの批判を受け撤回した。式典にはバイデン米大統領やウクライナのゼレンスキー大統領らが出席する予定。

 44年6月6日未明からの上陸作戦では、艦船約7000隻が投入され、米、英、カナダなどの連合国軍15万人以上が参加。防戦するドイツ軍と合わせて計10万人が戦死した。ロシアの前身のソ連は上陸作戦には直接参加しなかったが、ドイツはソ連との戦線に戦力を割かれ、上陸への防御が手薄になった。ソ連は第二次世界大戦中、連合国で最多の2000万人以上の死者を出している。仏政府は4月、「第二次世界大戦の勝利に向けた旧ソ連の多大な貢献と犠牲をたたえる」との理由から一度はロシアの招待を決めた。

 だが国内外から「不適切」と猛反対する声が上がり、仏大統領府は5月30日、ロシアの不参加を発表。「最近数週間で激化したロシアによるウクライナ侵攻の状況から、(招待の)条件が整わなかった」と説明した。ロイター通信によると、ウクライナや、他に招待を受けた複数の国が反発したという。

 フランスはこれまで節目となる式典に旧連合国の首脳を招待している。ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の強制併合から3カ月後に開催された2014年6月の70周年式典には、ロシアのプーチン大統領と、ウクライナ大統領就任直前のポロシェンコ氏が出席した。オランド仏大統領、メルケル独首相の仲介で4者協議が実現し、その後、「ノルマンディー形式」と呼ばれた。当時のオランド仏政権にはロシア、ウクライナ両国の対話を促し、緊張を緩和する思惑があった。

 だが今回は、ロシアとウクライナの激しい戦闘が続いており、状況は大きく異なる。

 フランスの歴史学者を中心とするグループはウクライナを含めた旧ソ連構成国をロシアが代表することを問題視した。連合国は第二次世界大戦の勝利を自由と民主主義の勝利と位置づけているが、ロシアによるウクライナ侵攻と、占領地での暴虐行為はこの理念に反する。欧州議会は22年11月、ロシアをテロ支援国家と認定している。

 またロシアはウクライナに侵攻する「特別軍事作戦」の目的として、ウクライナの「非ナチス化」を掲げるプロパガンダで正当化を試みている。米欧が80年前にナチスを撃破した式典にロシアを招待することは、ロシアのプロパガンダを助長する懸念もあった。

 6月6日の式典には米英カナダなどの退役軍人約200人が出席予定。米バイデン大統領、英スナク首相、カナダのトルドー首相、ウクライナのゼレンスキー大統領のほか、ドイツのショルツ首相も招待されている。主要国は式典に合わせ、ウクライナ支援についても協議するとみられる。【ブリュッセル宮川裕章】

ロシア高官「事実消し去ろうとしてる」

 フランスがノルマンディー上陸作戦の記念式典にロシアを招待しないと決めた5月30日、露外務省のザハロワ情報局長は記者会見で、上陸作戦が「ソ連軍による戦果なしには不可能だった」と主張した。その上で、「欧米側がそのことを思い出そうとしないばかりか、その事実を消し去ろうとしている」と主張した。

 また、ロシアのペスコフ大統領報道官は同31日、記念式典について「訪問の計画はなかった」と話し、ロシアにとって重要なのは、第二次世界大戦の対ドイツ戦勝80周年にあたる2025年だと強調。「80周年の記念行事が最優先事項であり、これに集中している」と述べた。【モスクワ山衛守剛】

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