北朝鮮国営の朝鮮中央通信が22日に配信した朝鮮労働党中央幹部学校の落成式の写真で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と祖父の故金日成(キム・イルソン)主席、父の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の肖像写真が学校内で並べて掲示されていることが確認された。これまで北朝鮮では祖父、父2代の写真を並べるのが一般的だった。韓国の聯合ニュースは「3人の肖像写真が並ぶ様子が公開されるのは初めて」と指摘し、北朝鮮が金正恩氏の偶像化に拍車をかけているとの分析を伝えている。
配信された写真では、教室の前方にある黒板の上に左から金日成、正日、正恩の3氏の写真が同じ大きさで掲げられている。
金正恩氏がトップの座について約12年。今年は自らを先代、先々代と同格と見なす動きが相次いで観察されている。1月には金日成氏が打ち立て、金正日氏も継承した「朝鮮半島統一」の方針を完全に転換。また4月15日の金日成氏の生誕記念日には、例年使っていた「唯一の指導者」を意味する「太陽節」という言葉をほぼ使わなかった。
韓国の統一研究院の洪珉(ホンミン)研究委員は毎日新聞の取材に「ここ2、3年、金正恩氏の偶像化に向けた動きがあったが、それを本格化させた形だ。正恩氏が祖父、父に肩を並べたことを示したと考えられる」と指摘した。
この日の落成式で演説した金正恩氏は「朝鮮労働党は、まさに今日を新たな出発点にしてさらに強くなり、わが国と人民の運命を再び偉大に転換させる誇り高い歴史を創造するだろう」と強調。落成記念の公演も鑑賞した。公演会場のステージには、社会主義理論の礎を築いたマルクスと、ロシア革命を率いたレーニンの肖像画も掲げられていた。【ソウル福岡静哉】