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金正恩氏、米朝会談の移動手段で「悩み相談」 韓国前大統領が回顧


 韓国の文在寅(ムンジェイン)前大統領は5月発売の回顧録で、2018年6月と19年2月に行われた米朝首脳会談の開催地を巡り、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記との間で交わした詳細なやり取りを明かした。金氏は、列車で移動しやすいモンゴルや、海上の「空母」などを提案していたという。また、金氏は19年2月に米朝会談が開かれたベトナムまで3日間近くかけて平壌(ピョンヤン)から列車移動したが、回顧録では金氏本人の言葉を引用し、その理由を示す「胸の内」にも触れている。

 文氏と金氏は18年4月、南北の軍事境界線がある板門店で首脳会談に臨んだ。金氏は文氏に対し、米側から会談場所として、米南部フロリダ州にあるトランプ米大統領(当時)の私邸「マララーゴ」▽米ハワイ▽スイスのジュネーブ――といった提案があったと明かした。その上で、「自分たちの専用機で行ける範囲はとても狭い」と打ち明け、「米国からは、飛行機を(北朝鮮に)送ってあげることもできると言われたが、プライドが傷つくから(それを受け入れることは)できないではないか」と率直に吐露したという。

 金氏は「シンガポールも自分たちの専用機では行けない。中国に頼って(中国の)飛行機を使うこともしたくない」と話を続けた。結論としては、板門店とモンゴルの首都ウランバートルの2カ所を米朝会談の候補地として米側に伝えるよう文氏に依頼したという。だが、18年6月の史上初の米朝首脳会談はシンガポールで行われた。

 3カ月後の18年9月、文氏と金氏は北朝鮮の首都・平壌で会談。その後、北朝鮮北東部・両江道(リャンガンド)にある三池淵(サムジヨン)招待所で散策した際、金氏は「(シンガポールに行くために)仕方なく中国の飛行機を使ったが、本当に乗り気ではなかった。次の(米朝首脳会談の)開催地は自分たちの要求を受け入れてほしい」と述べ、再び板門店とモンゴルを挙げた。さらに「米国が(北朝鮮の)海域に空母のような大きな船を停泊させて、そこで会談することも可能だ」と提案したという。文氏は回顧録に「本当に切迫した要請だった」と記した。

 回顧録によると、トランプ氏は海上会談について「素晴らしい提案だ」と共感したという。ところが米側は結局、19年2月の米朝首脳会談の開催地をベトナムの首都ハノイに決めた。

 金氏はこの会談のために、北朝鮮・ベトナム間を中国経由の列車で往復しており、前回のように中国の飛行機に頼るのは避けた模様だ。ただ、ロイター通信の報道では、金氏が往路で乗っていた列車は中国製で、交通手段は結局、中国に頼らざるを得なかったようだ。韓国の聯合ニュースによると、片道4500キロの長距離を約66時間かけて移動したという。

 米朝のハノイ会談で成果はなく、文氏は回顧録で「長時間、列車に乗って手ぶらで帰った金総書記の気持ちを思うと、残念だ」と記した。【ソウル福岡静哉】

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