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「追い出し行為だ」 北海道大准教授ら、待遇改善を求め陳情書


 北海道大理学研究院(札幌市北区)の化学部門で、複数の准教授が「教授会が不当に業務をさせず、教育・研究活動を阻害している」などと訴え、改善を求める陳情書を同院に提出していたことが、北大関係者への取材で判明した。准教授らは「教授会によって組織的に孤立させられ、退職を事実上迫られている」と主張している。

 関係者によると、准教授らは所属する研究室の教授が退職した後、研究室業務から切り離され、研究指導する学生も配属されていない。それぞれが1人で研究に従事しており、准教授らは「追い出し行為に当たる」と批判している。

 毎日新聞が入手した北大化学部門の内部文書などによると、同部門では教授が定年退職や異動などで不在になった場合、残った准教授や助教ら教員を「旧スタッフ」「旧研究室スタッフ」と呼んで区別。教授会に当たる講座委員会は2020年度に「内部基準」を設け、新任教授は研究室で旧スタッフを引き受けない▽合意を得た上で教授退職後1年間をめどに居室を移動する▽新たな学生は配属しない▽既存研究室に所属するが研究室業務は原則担当させない――などと取り決めた。

パンフレットに名前なし

 4月現在、無期雇用の准教授と助教計4人が旧スタッフの扱いを受けている。4人は、理学部の学生向けに研究室を紹介する化学部門のパンフレットに名前が記載されていない。学生の研究指導に3年以上関わっていない教員もいる。ある准教授は取材に「教授の交代で追い出し部屋に入れられるのは予想外だった」と話した。

 複数の准教授は1月、大学のハラスメント相談室を通じて、理学研究院に改善を求める陳情書を連名で提出。講座委員会は25年度以降、旧スタッフに学生を指導させる方針を示すなど制度の見直しを始めた。

 化学部門長の松井雅樹教授は内部基準の存在を認めた上で「同じ分野でも新任教授と研究方針の相違などで研究室の運営が難しくなるケースも出てくる。旧スタッフのキャリアアップを支援するもので、転出を強要することは全くない」と説明した。

 アカデミックハラスメント問題に詳しい広島大ハラスメント相談室の北仲千里准教授は「組織で特定の人を冷遇しようとしている。不当な取り扱いだ」と指摘している。【鳥井真平】

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